混合水栓から水漏れを起こしたら?構造を知って修理を行う方法まとめ
1つの蛇口から水とお湯の両方を使えるのが混合水栓の特徴です。
そんな混合水栓は10年程度で寿命を迎えるため、水漏れするのは珍しいことではありません。
とはいえいざ水漏れするとどのように対処したらよいか分からないものです。
混合水栓にもいくつか種類があるため、それぞれの構造に合わせた修理が必要になってきます。
また水漏れ原因によっても修理内容が変わってくるため、どこから水漏れしているかを特定し、水漏れ原因を探っていかなければなりません。
水漏れした際の対処法についてまとめます。
目次
混合水栓の種類と構造を把握しよう
混合水栓とは、吐水口から水とお湯の両方が吐出できるタイプの蛇口です。
水だけあるいは熱湯だけを吐出することもできますし、2つを調整したぬるま湯の使用もできます。
反対に、水かお湯どちらかのみ使用できるタイプの蛇口は単水栓となります。
家庭内にある蛇口を見渡してみると分かる通り、混合水栓と一言でいっても、いろんなタイプが存在します。
それぞれの混合水栓において構造は異なるため、混合水栓の特徴を深く見ていきましょう。
種類は大きく分けると3つ
混合水栓は大きく分けると3種類あります。
それぞれの主な特徴に関しては以下の表をご覧ください。
項目 | 2ハンドル混合水栓 | シングルレバー混合水栓 | サーモスタット混合水栓 |
---|---|---|---|
特徴 | 2つのハンドルが付いており、回すことで流量と温度調整ができる | 一つのレバーを上下左右に動かし、流量と温度調整をおこなう | 流量調整が出来るレバーと、細かな温度設定ができるレバーが付いている |
本体価格 | 安価 | 比較的高め | 比較的高め |
これら3種類の混合水栓は見た目が大きく異なるため、見分けるのは難しくありません。
また家庭内で使用される箇所もそれぞれ違います。
混合水栓の特徴に関して、もう少し具体的に解説します。
2ハンドル混合水栓
2ハンドル混合水栓は、水用のハンドルとお湯用のハンドルが付いている水栓です。
2つのハンドルを回転させることで、水もしくはお湯が吐出されます。
吐出する割合を変えることで温度調整をおこなうため、自分自身で吐出加減を調整しながら使うのが特徴です。
また、開き加減によって流量が変わります。
流量を少なくしたい際には少しだけ回転させ、逆に沢山出したい場合には回転数を多くします。
2ハンドル混合水栓は、キッチンや洗面台、他にも浴室などさまざまな箇所で用いられるのが一般的です。
シングルレバー混合水栓
シングルレバー混合水栓は、一つのレバーを上下左右に動かすことで流量や温度を調整できる水栓です。
上下に動かすことで流量をコントロールでき、左右に動かせば温度調整可能なのが特徴です。
一つのレバーのみで吐水と止水ができるため、非常に動作がシンプルですから、最近の家庭における水栓の主流となっています。
力を入れず片手のみで操作可能なのも魅力で、力のない女性であっても扱いやすいです。
また、見た目もスタイリッシュでシンプルなため、デザインの良さもあり好まれています。
余計な凹凸も少ないことからお手入れしやすいのも、シングルレバー混合水栓における特徴でしょう。
サーモスタット混合水栓
サーモスタット混合水栓は、吐出温度を一定に保てる仕様になっている水栓です。
主に浴室で使われる水栓になりますが、浴室の水栓は急に温度が大きく変わったらやけどの危険があります。
そのため安定した温度を供給できるよう、中にサーモスタットが組み込まれています。
これにより自動で水量と湯量の調整ができ、急激に熱くなったりしない安定したお湯の供給が可能です。
また、サーモスタットが温度の上限を自動で制限してくれるのも特徴でしょう。
温度の切り替えは温調ハンドルでおこない、流量の調整は切替ハンドルでおこないます。
切替ハンドルによって蛇口とシャワーの切り替えもできる仕様になっています。
混合水栓における構造の特徴
混合水栓にはどのようなタイプがあるか分かったところで、今度は水栓の構造について見ていきましょう。
それぞれのタイプによって構造は異なります。
特に、2ハンドル混合水栓と他の水栓に関しては違いが大きく、根本的な仕組みが異なります。
一方で2ハンドル混合水栓は単水栓とほぼ構造が一緒です。
では具体的にどのような構造をしているか、解説します。
2ハンドル混合水栓の仕組み
2ハンドル混合水栓は、各蛇口の内部にスピンドルという部品が内蔵されています。
このスピンドルがハンドルの動きに連動して上下します。
たとえばハンドルを開くと上に押しあがり、逆にハンドルを閉めると下にさがる仕組みです。
開けた際にスピンドルが上がるとそこに隙間が生じ、空洞部分から水が流れ出す構造となっています。
ここまでは単水栓の構造と一緒です。
2ハンドル混合水栓の場合は各蛇口でこのような操作がおこなわれ、流れ出た水とお湯が金具内で合わさります。
最終的にはそれぞれの割合に応じたお湯が、吐出されるのが特徴です。
よって各ハンドルの開き具合を自分で加減することで、適正温度を調整していくタイプの蛇口になります。
シングルレバー混合水栓の仕組み
2ハンドル混合水栓では水のハンドルとお湯のハンドルがありますが、一つのレバーだけで水とお湯の両方を調整できるのがシングルレバー混合水栓です。
仕組みとしてはバルブカートリッジが内蔵されており、この部品が水とお湯の割合を自動で調整しています。
手動で水とお湯の割合を調整する必要がある2ハンドル混合水栓とは、バルブカートリッジ部分の構造が最も大きな違いです。
つまり2ハンドル混合水栓において吐水や止水機能を果たしていたスピンドルに代わって、バルブカートリッジが使われています。
バルブカートリッジがハンドルの動きに応じ、流量や温度を調整した水が流れ出す仕組みとなります。
内部構造は2ハンドル混合水栓より複雑ですが、使用における動作は非常にシンプルです。
そのためキッチンなど頻繁に使用する場所で用いることが多いです。
サーモスタット混合水栓の仕組み
サーモスタット混合水栓は、流れる水温がほぼ一定になるよう特殊な構造となっている水栓です。
中にはサーモスタットカートリッジが内蔵されていますが、これが適温に保つ役割を果たしています。
具体的には形状記憶合金バネの特性を利用しており、温度が低下するとバネが縮むことにより、供給するお湯の割合が増える仕組みです。
反対に温度が上がると今度はバネが伸び、水の割合が増えるように自動調整されます。
このバネの動きによって常にほぼ一定温度に保たれた水が吐出されるようになっており、急に熱湯が流れ出たりするのを防げます。
混合水栓で水漏れしやすい箇所と原因は?
混合水栓はご紹介した通り、大きく3種類ほどあります。
それぞれのタイプによって水漏れしやすい箇所は若干異なり、以下の表に示す部分から水漏れすることが多いです。
項目 | 2ハンドル混合水栓 | シングルレバー混合水栓 | サーモスタット混合水栓 |
---|---|---|---|
水漏れしやすい箇所 | 吐水口・ハンドル下・パイプの付け根部分 | 吐水口・レバー下・スパウト周辺・本体の付け根部分 | 吐水口・シャワーエルボのつなぎ目・シャワーヘッド |
このように共通して水漏れしやすい箇所もありますが、構造の違いから各蛇口独自の水漏れ箇所というのもあります。
水漏れしやすい箇所とその原因について深堀してみましょう。
2ハンドル混合水栓の場合
2ハンドル混合水栓で水漏れがよく見られる箇所としては以下です。
- 吐水口
- ハンドル下
- パイプ根本
きちんと蛇口を閉めたはずなのに、吐水口からポタポタとした水漏れが生じる場合は、内部部品のケレップに問題があるケースが多いです。
経年劣化によりケレップが正常に動作していないために、水漏れが起こります。
ハンドル下も水漏れの定番箇所です。
吐水と止水の度に開け閉めする箇所ですから、自然と負荷がかかります。
特にハンドル部分にはパッキンが用いられているため、パッキンの劣化が原因となることが多いです。
パッキンは樹脂製のため消耗しやすく、毎日の使用によりダメージが蓄積されやすいです。
スパウト付け根からの水漏れは、パッキンの劣化かナットの緩みが原因と考えられます。
前述のようにパッキンの損傷からくる水漏れもありますが、単にナットが緩んでいるだけのこともあるため確かめましょう。
シングルレバー混合水栓の場合
シングルレバー混合水栓では、以下の箇所からの水漏れが多いです。
- 吐水口
- レバー下
- スパウト周辺
- 本体の付け根部分
吐水口からの水漏れは2ハンドル混合水栓と同様に部品劣化の可能性が高いですが、まれに汚れが原因となっていることもあります。
汚れにより部品に隙間が生じ、そこから水が漏れてしまうのです。
レバーも普段動作する部分ですから水漏れが生じやすく、カートリッジの経年劣化が疑われます。
スパウト周辺から滲み出すような水漏れを起こしている場合も、カートリッジに問題があるケースが多いです。
本体付根部分からの水漏れもやはりカートリッジに問題がある可能性が高いですが、パッキンの劣化も考えられます。
いずれにしろシングルレバー混合水栓の場合は、パッキンとカートリッジ交換で対処しましょう。
サーモスタット混合水栓の場合
サーモスタット混合水栓では、以下の場所から水漏れしやすいです。
- 吐水口
- シャワーエルボのつなぎ目
- シャワーヘッド
吐水口からの水漏れは、他の水栓と同様に内部のパッキンやカートリッジが問題となっている可能性が高いです。
また、サーモスタット混合水栓独自の水漏れ箇所として、シャワーエルボのつなぎ目があげられます。
本体とシャワーホースの接続部です。
この部分にはナットとパッキンが用いられているため、ナットの緩みもしくはパッキン損傷が考えられます。
もう一つ水漏れ箇所としてはシャワーヘッドからというケースも多いです。
シャワーヘッドとホースのつなぎ目部分から水漏れする場合は、やはり内部パッキンの劣化による可能性が高いです。
水漏れ修理の方法と解説
ここからは修理する際の具体的な手順を紹介していきます。
混合水栓の場合、部品交換であればそれほど難しくはないため、自分自身でも対処可能です。
ただし自分で行う際には工程をしっかり把握しておくことが大事です。
特に下準備に関しては忘れがちなため、どのような順序で修理をおこなうかきちんと理解しましょう。
また、部品交換を施しても水漏れが収まらない場合には、蛇口本体の交換が必要です。
蛇口本体の交換は難易度が高く、修理に手慣れている人でないと難しいです。
自分で対処できない場合には業者の利用も検討しましょう。
修理前は下準備が必須
いきなり修理に取りかかる前に、事前準備をしましょう。
まずは止水栓もしくは元栓を閉める必要があります。
開けっ放しにしてしまうといつまでも水漏れが続きますし、修理中にトラブルが発生した際には水が溢れだすリスクもあります。
止水栓はキッチンや洗面台の場合には、シンク下の収納部分に付いていることが多いです。
トイレですと、タンク傍の床や壁に設置されているため探してみましょう。
ハンドルタイプの止水栓なら手動で動かせますが、マイナスタイプですとマイナスドライバーの準備が必要です。
元栓は一戸建てですと、屋外の地中に水道メーターと共に埋まっているのが一般的です。
集合住宅ではPSに収納されていることが多いですが、規模の大きい集合住宅ですと、施設内に元栓専用の部屋が用意されているケースもあります。
いずれにしろ、集合住宅の場合は間違って他の部屋の元栓を閉めないように気を付けましょう。
元栓は基本的に工具不要で開け閉めできる仕様となっています。
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賃貸の場合は修理前に連絡を
一戸建ての場合には自分自身で修理の実施を決められますが、賃貸にお住まいの場合は要注意です。
水漏れが生じても勝手に修理しない方が無難です。
万が一勝手に修理をおこない、器具などを破損してしまった際には余計問題が大きくなる可能性があります。
また、そもそも修理自体をNGとしている賃貸も多いです。
管理規約により規制されているため、自己判断で修理すると規約違反に該当してしまうこともあります。
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2ハンドル混合水栓の部品交換方法
2ハンドル混合水栓で水漏れが生じた場合、パッキンに問題があるケースが多いです。
パッキン交換をおこなう手順としては、以下になります。
- 止水栓または元栓を閉めて水が流れないようにする
- 蛇口ハンドル上部の留め具を外す
- ハンドルが外れる状態になるため、上に引っ張り外す
- 根本のナットをモンキーレンチで回しながら外していく
- 出てきたパッキンを新しいものに交換する
- 逆手順でナットとハンドルを付け直していく
- 止水栓または元栓を開ける
ハンドル部分のパッキン交換方法をご紹介しましたが、蛇口根元部分のパッキンを交換する際も要領としては一緒です。
パッキンは小さい部品のため、無くさないように気を付けましょう。
シングルレバー混合水栓のカートリッジ交換方法
シングルレバー混合水栓の水漏れ時は、カートリッジ交換で対処するのが一般的です。
修理方法としては以下になります。
- 止水栓もしくは元栓を閉めて、水の流れをストップする
- レバーを持ち、上に引っ張りぬく
- カートリッジを覆っているカバーと内部部品を取り出す
- カートリッジ本体を上に引っ張り外す
- さらに下のパッキンとバネを取り出し新しいものへ交換したら、再度付け直す
- カートリッジを取り付けたら、再度部品を逆手順で付け直していく
- 元栓もしくは止水栓を開け、水漏れが収まっていることを確認する
ポイントとしては、カートリッジやパッキン類など付け直す部品が多いため、上下左右を間違えないようにしましょう。
サーモスタット混合水栓のカートリッジ交換方法
サーモスタット混合水栓も、修理時はカートリッジ交換が必要となります。
以下の手順で対処しましょう。
- 止水栓か元栓を止める
- マイナスドライバーを使って切替ハンドルのキャップをこじ開ける
- そのまま切替ハンドルを引っ張り外す
- モンキーレンチを使い、出てきたナットも取り外す
- カートリッジを引っ張り出して抜く
- 新しいカートリッジを付け直し、逆手順で組み立てをおこなう
- 止水栓か元栓を開け、正常に水が流れることを確かめる
カートリッジが固くなってしまっている場合は、てこの原理を駆使しながら引き抜くのがコツです。
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まとめ
混合水栓には以下の3タイプがあり、それぞれ構造が異なります。
- 2ハンドル混合水栓
- シングルレバー混合水栓
- サーモスタット混合水栓
2ハンドル混合水栓はバルブの上下運動にて水が流れる仕組みとなっており、パッキンやスピンドルの劣化が水漏れを起こす原因となりやすいです。
シングルレバー混合水栓とサーモスタット混合水栓は内部にカートリッジが組み込まれているため、カートリッジの劣化により水漏れすることがあります。
またナットの緩みや蛇口の汚れなども水漏れ原因となることが多いです。
よって水漏れ箇所を特定したら蛇口を解体していき、どのような不具合が起きているのか探っていく必要があります。
修理自体は難しくないため、どこの部分に異常があるのかという点を見極めることが重要です。