水道の元栓から水漏れは何が原因?元栓を勝手に閉めるのはダメなの?
水道の元栓から水漏れが発生することがあります。
室内の蛇口から水漏れが起きている時はすぐに気がつくかも知れませんが、元栓からの水漏れは気がつきにくいものです。
水道代が急に上がったり水道局から連絡が入ったりして水漏れに初めて気がつくケースがよくあります。
元栓から水漏れが起きる原因は何なのか、水漏れが起きた時にはどこへ連絡したらよいのかを説明します。
自分で勝手に元栓を閉めるのがダメなケースと、大丈夫なケースについても解説していきます。
目次
元栓と止水栓の違いを知っておこう
元栓と止水栓が同じだと勘違いしている人が多くいます。
確かにどちらも水道の流れを止める役割をするので同じだと考えてしまいがちですが、厳密に言うと二つの役割は違います。
元栓の役割 | 住宅全体の水道の流れをコントロールする |
止水栓の役割 | 一部の水栓の水道の流れをコントロールする |
元栓は住宅全体の水道の流れをコントロールする役割があります。
止水栓は住宅の様々な箇所に設置されており、一部の水道の流れをコントロールする役割しかありません。
例えば、トイレの中に設置されている止水栓を閉めるとトイレ内部の水道の流れだけが止まりますが、元栓を閉めると家の中の全ての水道が止まります。
住宅に元栓は一つだけ設置されていて、止水栓は複数設置されています。
元栓と止水栓で修理できる業者が違う
元栓と止水栓の違いを知っておくことは大切です。
なぜなら元栓と止水栓で修理できる水道業者が違うからです。
元栓は水道局の管轄であり、元栓が故障した時は水道局へ連絡しなければなりません。
水道局へ連絡すると水漏れ修理の手順や修理の費用、そして修理の際に気をつけるべきことを説明してくれます。
地元の水道局が認定している業者の連絡先を教えてくれることもあります。
ケースによっては水道局が修理を手配し、水道局指定業者が家に来て修理してくれます。
各自治体の水道局や給水管の敷設状況によって元栓の所有者が異なりますので、どちらか分からない場合は、事前に水道局へご確認下さい。
もしお客様の管理範囲であれば当社までご連絡頂ければ対応させていただきます。
家の中にある止水栓は、一般の水道業者が対応できます。
止水栓の水漏れがある時には水道局ではなく、直接水道業者へ連絡してください。
止水栓とは?設置場所や構造と水道から水漏れする原因と対処方法
水道の元栓から水漏れするのは何が原因なの?
元栓から水漏れしている原因は主に2つ考えられます。
- パーツの摩耗
- パーツの破損
長年元栓を使用し続けた結果、内部のパーツが摩耗して水漏れすることがあります。
何らかの理由で強い水圧がかかり、パーツが破損してしまうケースも時折見られます。
水漏れに繋がるパーツは、水をせき止める部分です。
水をせき止める部分に不具合がある場合、元栓をしっかり閉めているにもかかわらず水道が流れ続けてしまいます。
元栓から水漏れしていた実際のケースを紹介します。
元栓付近から勢いよく水が漏れているケース
元栓付近から勢いよく水が漏れていたトラブルについて紹介します。
シューという音と共に水が漏れていると水道局に報告があり、水道局指定の業者が元栓をチェックしたところ、内部のパッキンが経年劣化していました。
栓の底に設置されているピストンと呼ばれる部品のパッキンが切れていたために起こったトラブルです。
ピストン自体は正常に機能しているのでパッキンだけの交換で対応しました。
しかしピストンが古くて腐食していたり、損傷していたりするとパッキンの交換だけでは水漏れを解消できません。
ピストンや元栓本体の交換で対応することがあります。
水漏れの原因と交換部品の判断は専門家でなければ行えないので、水漏れがひどい時には早めに水道局へ連絡してください。
元栓下部の目に見えない箇所から水漏れ
元栓下部から水漏れしていると外から見えないので問題箇所が特定しにくいです。
紹介するケースは、元栓の根元部分が腐食していることが原因で水漏れしていました。
水道料金が異常に上がっていると水道局が気づき、水道局指定の業者へ調査の連絡が入ったケースです。
業者が元栓を見たところ特に目立って水漏れしている箇所がありません。
元栓付近の水漏れ音を特殊な機材でチェックしてみると、元栓の地中に埋まっている根元部分が水漏れしていることが判明します。
根元自体が腐食していることに加え、栓の中に設置されている複数のパッキンが経年劣化して壊れていました。
この水漏れトラブルは元栓本体の交換で対応されました。
水道の元栓から水漏れが起きた時の正しい対処法と止水栓との違いについて
元栓を勝手に閉めるのはダメって本当?
元栓を勝手に閉めるのがダメなケースと、問題ないケースについて説明します。
両方のケースについて表からご覧ください。
勝手に閉めるのはダメなケース | ・自宅の元栓がどれか分からない ・ガスメーターも設置されている ・元栓が古い |
勝手に閉めても良いケース | ・自宅の元栓であると確認できている ・ハンドルを自力で回せる |
表の内容を詳しく説明していきます。
勝手に閉めるのはダメなケース
元栓を勝手に閉めるのがダメなケースは自宅の元栓がどれか分からない時です。
特に集合住宅で起きやすいケースになります。
マンションやアパートでは、自分の元栓と他の部屋の元栓が同じ場所に収納されていることがあります。
大抵それぞれの元栓は自宅の扉横の収納スペースへ収められています。
収納スペースの中を見て複数の水道メーターと元栓があり、自宅の元栓がどれか分からない時は勝手に閉めないでください。
間違えて他の部屋の元栓を閉めてしまうことになります。
一般的には水道メーターやメーターの蓋に部屋番号が書いてます。
自宅の元栓がどれなのか少しでも不安になる時には、勝手に閉めないのがよいです。
まず住宅の管理会社か管理人へ連絡し、自宅の元栓を確認してください。
規模の小さな集合住宅の場合、元栓は扉横ではなく敷地内の地中に埋められていることがあります。
地面の中に設置されていると自分では見つけづらいので、管理会社か管理人へ尋ねてください。
集合住宅の場合、収納スペースにガスメーターも一緒に設置されていることがあります。
ガスメーターと水道の元栓のどちらか判別できない時にも勝手に閉めないでください。
勝手に閉めることでガスを止めてしまいかねません。
元栓が古くなっている場合、勝手に閉めるのは危険です。
経年劣化している元栓はバルブが硬くなっており、無理して自分で閉めようとすると破損してしまうことがあります。
元栓のバルブが折れて水漏れが悪化し、自分では対応しきれなくなる可能性があるので注意してください。
バルブを回して硬ければプライヤ-などを使いますが、無理して開けないようにしましょう。
見た目が明らかに古くて腐食しているような元栓は、自分で対応せずに水道局へ相談した方が安心です。
勝手に閉めても良いケース
勝手に閉めても良いケースは自宅の元栓であると確認できている場合です。
集合住宅でも、確実に自宅の元栓であると分かっているのであれば閉めても大丈夫です。
戸建て住宅は元栓が一つしかありませんから勝手に閉めても問題ありません。
一戸建て住宅の元栓がある場所は敷地内の以下の場所です。
- 敷地の入り口
- 庭
- 敷地内の駐車場
敷地の入り口付近や、庭の地面に水道メーターと一緒に収納されています。
駐車場の脇に設置されていることも多いです。
金属やプラスチック製のケースが地面に埋められていて、ケースの中に元栓が設置されています。
ケースには色々な種類があるので、よくあるケースの特徴を表にまとめました。
ケースの色 | 青いプラスチック製のケース 白いプラスチック製のケース 無色の金属製のケース |
ケースの名前 | 量水器 止水栓 メーター |
ケースの色は、目立つ青や白のプラスチック製がよく見られます。
昔の戸建て住宅では、無色の金属製ケースが使われていることが多いです。
ケースの蓋には量水器や止水栓、またはメーターと書かれていて、何のためのケースか判別できるようになっています。
止水栓とメーターの文字が一緒に表記されていることもあります。
ハンドルを自力で回せる時も勝手に閉めて良いです。
腐食していない元栓は、手で比較的簡単に回すことができます。
無理矢理回して元栓本体を破損するリスクがない時には、自分で閉めても問題ありません。
元栓を正しく閉める方法
水漏れ時に元栓を正しく閉める方法を紹介します。
元栓を閉めるのに必要な道具は2つあります。
- ゴム手袋
- プライヤー
手を傷つけないようにするため、ゴム手袋か軍手を用意してください。
ゴム手袋の方が滑らないので硬めのハンドルを回しやすいです。
プライヤーは、つまみ型のバルブで必要になります。
元栓を閉めるバルブにはハンドル型とつまみ型の2つの種類があり、つまみ型を閉める時にプライヤーは活躍します。
プライヤーがない時にはペンチで代用できます。
正しく元栓を閉める方法は以下の通りです。
- 自宅の水道の元栓であることを確認する
- バルブを右へ回す
- パイロットが止まったことを確認する
最初に自宅の元栓であることを確認してください。
特に集合住宅の場合は他の部屋の元栓ではないこと、ガスの元栓ではないことを確認しましょう。
次にバルブを右へ、時計回りに回します。
住宅によっては水道メーターの脇に一つずつ元栓が設置されていますが、両方の元栓を閉めてください。
つまみタイプのバルブは、プライヤーを使うと少ない力で回せます。
バルブは回らなくなるまでしっかり閉めてください。
元栓を閉めた後、水道の流れが完全に止まったことを確認するためパイロットを見ます。
パイロットは水道メーターの文字盤の下に設置されていて、住宅内で水道が流れているとくるくる回転し、水道が止まると動きを止めます。
パイロットが止まっているのであれば、住宅内でも水道が止まっていること、敷地内で水道の流れが完全に止まったことを確認できます。
念のために室内の蛇口を開けて、水が流れないかどうかかチェックしてください。
元栓の正しい開放の仕方
水漏れ修理が終わり、元栓を開放する時には注意が必要です。
正しく開けなければ、元栓内部のパッキンが破損する可能性があります。
せっかく水漏れトラブルが解消したのに開放の仕方を間違ったがために、もう一度修理が必要になるかも知れません。
安全な元栓の開放の仕方を解説します。
- 住宅内の止水栓を全て閉める
- 元栓を全開にし、5分の1ほど元に戻す
まず住宅内の止水栓を全て閉めてください。
全部の止水栓を閉めることで、元栓を開いた際の水漏れチェックを正確に行えます。
止水栓が開いてしまっていると、元栓を開いてパイロットが回っている場合に、蛇口の開放が理由なのか水漏れが箇所まだあるのか判断できません。
全ての止水栓が閉まっているのに、元栓の解放時にパイロットが回転しているのであれば、まだ水漏れ箇所があると判断できます。
元栓を開く際に一旦全開にし、それから5分の1ほど右へ回してください。
全開にしたまま放置するとバルブが固まりやすくなり、次に元栓を閉める時に大変になります。
元栓を全開にせず、半分だけ開放していると水道の圧力が強まり、元栓内部のパッキンや他の部品が破損する恐れがあります。
さらに元栓を閉めすぎて水量が少ないと、給湯器に十分な水圧がかからず故障するリスクがあるので注意してください。
ちょうどよい水圧は、バルブを全開から5分の1ほど戻した位置です。
水道の元栓を修理する値段をチェックしよう
水道の元栓を水漏れ修理した際の費用はいくらになるのでしょうか。
修理費用の相場をチェックしてみましょう。
修理箇所 | 修理費用 |
---|---|
元栓の分解調整 | 5000円から9000円 |
元栓のパッキン交換 | 5000円から9000円 |
元栓の内部パーツ交換 | 13000円から15000円 |
電動元栓の分解調整 | 7000円から9000円 |
電動元栓のパッキン交換 | 7000円から9000円 |
電動元栓の内部パーツ交換 | 13000円から15000円 |
元栓本体交換作業 | 50000円から80000円 |
元栓の分解調整と電動元栓の分解調整は、部品交換なしで分解調整だけの作業になります。
ナットや内部パーツの緩みがあった時に調整する修理です。
元栓本体の交換作業は、地面を掘る必要があるため費用が高くなります。
地面を掘らずに、元栓の上部にある部品だけを交換する作業や修理するだけの時は、20000円前後の費用です。
表に示されている料金は一箇所の作業の場合で、他にも水漏れ箇所がある時には費用がさらに高くなります。
元栓を交換するか部品交換だけにするかによって、最終的な修理費用は大きく変わってきます。
水道局指定の業者が来て修理をする際、必ず見積もりを提示してもらうようにしてください。
実施する作業内容と修理費用の見積もりを最初にしてもらい、内容に納得した場合のみ工事を依頼しましょう。
いくつかの業者は電話で暫定の見積もりを教えてくれることがあります。
前もって2つ以上の水道業者に連絡し、見積もりを比較することができるでしょう。
悪徳業者は安い見積もりを提示しておきながら、後で追加料金を請求してくることがあります。
しかし誠実な業者は最終的な料金を提示してくれますし、追加料金は一切ないと見積もり時に約束してくれます。
業者選びで失敗しないためにも、評判の良い地元の水道業者を調べておくことをオススメします。
水道工事を業者に依頼してかかる料金は?工事店の選び方のポイント
まとめ
水道の元栓で発生する水漏れは、パーツの摩耗や破損が原因のことが多いです。
経年劣化が理由で元栓内部のパーツが摩耗することや、破損することによって水漏れが発生します。
水をせき止めるパーツやパッキン、またはピストンなどの部品が水漏れの原因となります。
元栓本体が腐食して地面の中で水漏れする事例も見られます。
水漏れが発生した際、自分で元栓を勝手に閉めるのはダメなケースがあります。
自宅の元栓が分からない時や、ガスと水道の元栓どちらか判別できない時は勝手に閉めないでください。
元栓が古くてバルブが回らない場合も無理して自分で閉めないようにしましょう。
室内にある止水栓は水道業者へ修理を依頼しますが、元栓の水漏れは水道局へ連絡することを忘れないでください。