節水型のトイレはつまりやすいの?トイレの構造や詰まる原因を解説
節水型トイレはつまりやすいと言われています。
レバーを1回引いた際に流れる水の量が少なくなるよう構造上調整されているため、水量不足によってつまりへと発展するケースが多いです。
そのため普通に使用している場合は問題ないのですが、1度に沢山トイレットペーパーを流した場合などは要注意です。
また、節水型トイレの構造が原因ではなく、排水管の方に問題があってもつまります。
たとえば排水管の勾配が取れなくなっている場合や、蓄積された汚れなどが原因です。
節水型トイレのつまりやすさに関して解説します。
目次
節水型トイレとは?従来のトイレとの違い
節水型トイレとは、その名の通り従来のトイレより節水ができるタイプのトイレになります。
水道代節約の目的や、近年のエコへの取り組みに対応する目的で開発されました。
比較的新しい戸建てやマンションですと、節水型トイレが導入されていることも珍しくありません。また、古い家でもトイレを交換すると節水型トイレになることが多いです。
節水型トイレは従来のトイレと比較して1回あたりの水量を減らせますが、その仕組みは構造上の違いが大きいです。
まずは節水型トイレの特徴や構造について見ていきましょう。
メリットは水道代の節約ができること
節水型トイレのメリットは、何と言っても1回あたりに流れる水の量を減らせるので水道代が節約できることです。
水の量を減らせればエコですし、環境にも良い影響があります。
実際、従来のトイレと比較してどのくらい水の使用量が違うのかと言いますと、下記の表を参考にして下さい。
項目 | 従来のトイレ | 節水型トイレ |
1回あたりの使用水量 | 約13リットル | 約3.8リットル |
1回あたりの水道代 | 約3.3円 | 約1.0円 |
節水トイレの種類にもよりけりですが、1回あたりの使用水量及び水道代をおおよそ3分の1に軽減できます。
年間に換算すると、1万円以上お得になるケースも多く、大きな節約効果を見込めます。
また、節水型トイレは最新の技術が導入されており、汚れが付きにくくなっているのもメリットです。
掃除の手間を減らせるといった魅力もあります。
デメリットはつまりやすいところ
レバーを引いた際に流れる水の量が少ないということは、つまりが発生しやすくなります。
節水型トイレにおけるデメリットは、ズバリつまりやすいところです。
従来のトイレから節水トイレに替えた途端につまりやすくなったという人もいるくらいですから、従来のトイレと比較するとつまりに弱いのは間違いないでしょう。
またこの後詳しくご紹介しますが、使い方の問題ではなく家の立地的な問題でつまりやすい場合もあります。
節水型トイレと従来型トイレの構造
節水型トイレと従来のトイレにおいて、基本的な構造は一緒です。
簡単に説明すると、高さの異なる2つの水槽をホースなどで繋いだ際に、水は高い方から低い方へと移動する原理によって排水できるようになっています。
節水型トイレも従来のトイレも、この原理を用いている点は一緒です。
ただし節水型トイレの方はより綿密に計算されており、少ない水でも原理が働くような構造となっています。
トイレの水の流れている原理を知っておこう
トイレには排水トラップと呼ばれる、排水管からの悪臭や虫の侵入を食い止めるための水たまりがあります。
このトラップ部分には、封水とせきという2か所の水を貯める部分が設けられています。
水は水位が高い方から低い方へと流れおち、2つの容器内における水位は常に一定となる仕組みです。
レバーを引いて排水することで、水位に変化が生じ、封水からせきへと水が流れ出します。
節水型トイレと従来型のトイレでは、レバーを引いた際に出てくる1回あたりの水量が異なるため、原理は一緒でも水の勢いに違いが生じるわけです。
素材や水流の進化
節水型トイレと従来のトイレで、水が流れる構造としては一緒ですが、用いられているトイレの素材が異なります。
新しいタイプのトイレである節水型は、ツルっとした素材で汚れが付着しにくい便器を採用しています。
そのため水量が少なくても汚れがこびりつくことなく、綺麗に流しきることができるわけです。
また、レバーを引いた際の水流に関しても、節水型と従来型では異なります。
これまでのトイレは上から下へと縦方向の水流が発生するのに対し、節水型は渦巻き状の水流が発生します。
渦巻き状の水流は汚れを残すことなくしっかりと洗い、排水口にも渦を巻いて流れ込むので水流が強くなります。その水流の強さにより少ない水でも汚物を流せるようになっているのです。
このように最新技術の導入によって、節水型は少ない水で流せるようさまざまな工夫が施されています。
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節水型トイレがつまりやすい理由とは?
最新技術を用いている節水型トイレですが、従来のトイレと比較するとつまりやすいと言われています。
理由はいくつかあります。
節水型トイレの仕組みが問題なケースもありますし、排水管の方に問題が隠されていることも考えられます。
つまりの原因次第で対策方法も変わってきますので、つまりの理由としてどのようなことがあるのか見ていきましょう。
1回あたりの水流が少ない
節水型トイレと言うだけあり、1回あたりに流す水量が圧倒的に少ないです。
普通の使い方をしている分には問題ないのですが、1回あたりに流す量が多いとどうしても排水の水量不足に陥りがちです。
勢いが付きにくいことからしっかり下水まで送ることができず、どこか配管の途中で引っかかってしまう可能性があります。
水が流れて見えなくなると流れたように感じますが、実は途中で止まっているかもしれません。
そんな時にすぐまた次のモノを流してしまうと、しっかりと流れ切ることができないまま汚れが蓄積されていきます。
水量の節約ができるのは大きなメリットでもありますが、使い方次第ではつまりの根本的原因となりやすいため注意が必要です。
大量のトイレットペーパーなどに対処しにくい
水量が少ないため、特に大量のトイレットペーパーなどには対処しきれません。
トイレットペーパーは水に溶ける性質ではあるものの、一度に流す量が多いと溶けるのに時間がかかります。
きちんと溶けきれないまま排水の狭いところに差し掛かってしまうと、つまりを引き起こしやすいです。
水に溶けるものを流す場合でも、節水型トイレを使う際は少し配慮が必要になります。
また、トイレットペーパーだけでなくお掃除用の流せるシートなども要注意です。
トイレットペーパーと同じく溶ける素材ではありますが、こちらも一度に大量に流すと溶けきれません。
他にも、流せるという記載があっても以下のようなものを流す際は、流しすぎないよう心がけましょう。
- おしりふき
- ティッシュ
- 猫砂
ここで間違えないようにしたいのは、従来型のトイレなら大量のトイレットペーパーやおしりふき、ティッシュを流しても詰まらないということではありません。
もちろん従来型のトイレでも大量のトイレットペーパーを流したら詰まります。そしておしりふき・ティッシュ・猫砂などの物も極力流さないのがベストです。
節水型トイレが極端に詰まりやすい訳ではありません。普通に使っていれば従来型のトイレも節水型のトイレも詰まることはありません。詰まるか詰まらないか微妙な量のトイレットペーパーなどを流した時に、節水型は詰まるが従来型であれば水量の多さから流れることもあるという違いなのです。
節水型トイレは不良品のようなニュアンスで取ってしまうと、いろいろな判断や対処を間違えてしまうことが危惧されますのでくれぐれもご注意ください。節水型トイレが便器内で詰まった場合の原因は、間違いなく自分の使い方に非がありますので気を付けましょう。
排水管の勾配に問題がある可能性も
つまりやすい原因が節水型トイレ自体の問題ではなく、家の環境的な問題の可能性も考えられます。
立地条件次第では、排水管の勾配角度が悪く、流れが停滞しがちということもあり得るからです。
通常だと緩やかに下へと流れるよう配管は設置されているはずですが、逆勾配になっていたりほとんど角度が付いていなかったりするとスムーズに流れません。
そこに節水型トイレの水量不足というダブルパンチで、つまりやすくなっている場合もあるでしょう。
また排水管が従来型トイレを使用する前提で敷かれている場合、後から節水型に切り替えると勾配の問題が発生しやすいです。
そもそも環境的に節水型トイレが向いていないというケースもあるため、一概に節水型トイレ本体に原因があるとは限りません。
排水管に汚れが蓄積されている
節水型あるいは従来型という種類の違いに関係なく、適切に使用していないと排水管はどんどん汚れていきます。
前述のように大量のトイレットペーパーなどを流すと、排水管内に蓄積されていきます。
また掃除の際に使用している洗剤なども、完全に溶けきれるわけではありません。
少しずつ蓄積されたヘドロのような汚れが排水管を覆って、水の流れをストップさせてしまうことは案外多いです。
他にも嘔吐物に混ざっている食品カスが原因となることもあります。
日々の清掃を怠っていると汚れは蓄積される一方ですから、排水管内にこびりつく前にこまめなお手入れをしておく必要があるでしょう。
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節水型トイレでつまりが生じた際の対策と使用にあたってのポイント
節水型トイレで万一つまりが生じた場合、どのように対処したらよいのか解説していきます。
つまりは放っておくと余計状況が悪化することもあるため、気が付いたら早めに解消するよう試みましょう。
但し、放っておいたことによって改善したというケースもあります。これはどういうことかと言うと、便器内で詰まっている場合、詰まりには常に溜まっている水による水圧がかかっています。詰まっている物の量が少ないと常にかかっている水圧と時間により、押し流されることがあります。しかし、詰まっている物の量が多いと水圧は詰まりを押し固めて、より強固な詰まりにしてしまうこともあります。
また自分でつまり解消法を試しても改善しない際は、水道業者への依頼を検討する必要があります。
水道業者を呼ぶような状況を作らないためにも、普段の使用時から気を付けることが大事です。
使用にあたってのポイントも一緒に見ていきましょう。
手軽にできる対処法
節水型トイレも従来のトイレであっても、基本的につまり解消法は一緒です。
軽度のつまりであれば自分自身で対処できますが、奥深い場所でつまった際や頑固なつまりの場合には業者を呼ぶ必要があります。
自分でおこなえるつまり対策としては、以下があげられます。
- ラバーカップを使う
- 重曹とお酢を使う
- 大で流す
どの方法も手軽に実施できるため、普段の予防策としてもおすすめです。
それぞれ深堀して見ていきましょう。
ラバーカップを使う
いわゆるスッポンとも呼ばれる、ラバーカップを使う方法です。
トイレつまり解消の定番アイテムですから、つまりに気が付いた際はまずこちらを試してみるとよいかもしれません。
ラバーカップを使用する際は、きちんと便器に合ったものを使用することが重要です。
いくつか種類があるため、節水型トイレに合ったものを選びましょう。
下記の表をご参照ください。
項目 | 和式 | 洋式 | 節水型 |
---|---|---|---|
特徴 | カップ底部分に出っ張りがなく、すっぽりと覆う様に使う | カップの先端部分に出っ張りがあり排水口に合う形状になっている | カップの淵に付けられたツバによって、複雑な形状にも対応できるタイプ |
使用できる箇所 | 和式トイレやキッチンなどの排水口 | 洋式トイレやタンクレストイレ | 節水型トイレ |
このように節水型トイレに用いる際は、節水型トイレ専用のものを使うのがおすすめです。
しっかりと覆って隙間を作らないようにしないと圧力不足でつまりを解消できないため、隙間なく覆えるようになっている節水型のラバーカップを用いましょう。
使い方の手順は以下です。
- 便器の水溜まり部分に対し、垂直になるようラバーカップを押し当てる
- 水量が少ない場合はバケツなどで水を注ぐ、多い場合はバケツに移す
- ラバーカップを押し当てて一気に引き抜く
- つまりが解消できるまでこれを繰り返す
- つまりが動くと、水と一緒に流れ出します
- バケツやタンクレバーで水を流し、水の流れがスムーズになれば完了
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重曹とお酢を使う
重曹とお酢でも、トイレつまりを解消できる場合があります。
やり方としては次の通りです。
- カップ1杯分の重曹を水に注ぐ
- 重曹の2倍量にあたるカップ2杯分のお酢を、さらに上から注いでいく
- 発砲するので時間が経つのを待つ
- おおよそ1時間程度経過したら水をゆっくりと流していく
- つまりが直って水の流れがよくなれば完了
便器内の水は少なめに調整しておきましょう。あまり多いと重曹やお酢が薄れてしまい、効果が期待できなくなります。
作業開始の前に、コンセントなどは抜いておきましょう。
万一水に濡れた際に感電するのを防止するためです。
大で流す
節水型トイレは水量不足でつまりが生じやすいです。
ゆえにレバーの小で流してしまうと、さらに水量が足りなくなるため、レバー大の方で流してみましょう。
軽いつまりであれば大で流すことによって、つまりが流れ出す可能性もあります。
しかしながら、水道代がかかることを懸念して、大は使用しないという人もいらっしゃるでしょう。
節水型トイレですと、大の方でも十分に水量が少なくて済む設計となっています。
大を使っても、従来型のトイレよりは節約効果が得られます。
そのためトイレットペーパーの分量が多くなってしまった場合などは、なるべく大を使用するよう心がけることをおすすめします。
むしろ大を使うべきタイミングで小を使い、つまりが発生するような事態に陥った場合は元も子もありません。
せっかく節約しても修理代で消えてしまうため、節水型トイレをお使いの場合は大を使うよう意識した方が良いでしょう。
通常のトイレに戻すことも検討しよう
トイレを適切に使用してもつまりが生じやすい場合は、使い方の問題ではなく配管の勾配に問題があると考えられます。
前述の通り、従来のタンク式トイレを使用する前提で配管が設置された場合などは、節水型トイレに充分な水圧を供給することができずつまりが生じやすいです。
この場合の対策としては2つあります。
排水管を節水型トイレに合うように敷き直すか、トイレを従来のものに戻すかです。
ただし排水管敷き直しの工事は非常に大がかりなものになり、費用も高額になりがちです。
数十万円の出費を覚悟しなければならないため、選択肢としてあまり現実的ではありません。
よって何度もつまりが続く際には、従来のトイレに戻すことを検討した方がよいでしょう。
使用時のポイントは一度に流す量を減らすこと
節水型トイレを詰まらせないようにするための対策としては、やはり一度に流す量を減らすことです。
つまりやすいと言われている節水型トイレですが、それは誤った使い方をしている時に限った話になります。
きちんと適切な使い方を心がけていれば、頻繁につまりが生じるようなことはありません。
もし頻繁につまりが生じる際は、節水型トイレの問題ではなく排水管の問題です。
トイレに負担をかけずに使用するために大事なのは、やはり1度に流す量は適量を心がけることです。
節水型トイレは水の勢いが弱いですから、大量にトイレットペーパーや流せるお掃除シートを入れて一気に流すことのないよう、数回に分けて流すようにしましょう。
水に溶けないものは流さないよう注意を
大量のトイレットペーパーなど水に溶けるものであれば、時間が経つとつまりが解消することもあります。
浅いところでつまりが発生しているようならラバーカップなどで対処できるため、たとえつまりが生じても何とかなる可能性が高いです。
一方で水に溶けない固形物は要注意です。
時間経過と共につまりが解消する見込みはないため、何とかして取り出す必要があります。
事態が悪化しやすいですから、固形物を落とさないよう注意を払いましょう。
まとめ
以上がトイレの水が流れる構造となっています。
高いところから低いところへ水が移動する現象ですが、この際の移動量を減らすような設計となっているのが節水型トイレです。
少量の水でも汚物が流れるように工夫されているため節水になりますが、それゆえに水の勢いが足りなくなることがあります。
従来のトイレと比較すると水量が少ないため、1度に流す量次第ではつまりやすいです。
大量のトイレットペーパーや流せるお掃除シートを入れてしまうと、つまりの要因になりやすいですから気を付けましょう。
また、固形物など水に流せないものを落とした場合も、つまりへと発展する可能性が高いです。
今回ご説明してきた節水型のトイレを使う上でのポイントを要約すると、以下のようになります。
・トイレはレバーの大で流せば普通の使い方をしている限り詰まらない。
※普通の使い方ではなくペーパー類を大量に流せば従来型トイレでもつまる。
・レバーの小で汚物やペーパー類を流すと詰まるリスクは高くなる
・トイレに流す時の量に気を付け、多い場合は複数に分けて流す
適切な利用を心がければ節水型トイレにおけるつまり問題を解消できるはずですから、日々の使用方法を見直してみるとよいでしょう。