壁排水(床上排水)のトイレで詰まりが起こった時の原因や対処方法
壁排水のトイレで詰まりが起きた場合、その原因を知り正しく対処することが重要です。
ではどのようなことが原因で詰まりは起き、どうやって対処すれば良いのでしょうか。
ここでは壁排水のトイレに絞り、詰まりの原因と対処方法について解説していきます。
トイレの詰まりは原因によっては自分で対処することも可能で、必ずしも業者に修理してもらう必要はありません。
自分で対処可能かどうかを判断するためにも、なぜ詰まりが起きるのかを理解しましょう。
目次
壁排水のトイレとは?
まず最初に壁排水のトイレとは何かを見ておきましょう。
トイレは下水管との接続の違いによって2つの種類に分けられます。
- 床下排水のトイレ
- 壁排水(床上排水)のトイレ
以上の2種類です。
床下排水のトイレはごく一般的なタイプで、トイレの排水口と下水管がトイレ本体の下、床下で接続されています。
そのため普段は接続部分を目にすることはできません。
一軒家を中心にこの床下排水が使われています。
近年では集合住宅でも床下排水を採用しているところが増えています。
一方で壁排水のトイレは床上排水とも呼ばれていて、トレイの排水口と下水管が壁で、つまり床上で接続されています。
トイレ本体の後部にパイプがあり、そこが排水口と下水管の接続部分になります。
そのため接合部分がはっきりと見えるということも珍しくありません。
壁排水のトイレは主にマンションなどの集合住宅で利用されています。
このように床下排水のトイレと壁排水のトイレで違いもあるわけですが、なんらかの原因で詰まりを起こすことがあるというのは共通です。
トイレの詰まりを防ぐためにも、原因を知ることはとても大切です。
トイレの構造について
詰まりの原因を見ていく前に、トイレの構造について知っておきましょう。
そもそもなぜ詰まりが起きてしまうのか、この点についてはトイレの構造も関係しています。
床下排水であっても壁排水であっても、排水口と下水管が接続されていて水が流れるようになっています。
この水の通り道がまっすぐであれば物が詰まるようなことも少ないのですが、実際にはまっすぐではなく曲がっています。
急なカーブを描くようにして通り道が作られていて、物が詰まりやすい箇所が生まれてしまいます。
特にせきと呼ばれる部分が問題です。
せきは坂道になっていて、水がいったん上に上昇し、その後急なカーブを通って下へと落ちていく構造になっています。
そのため水流が弱かったりすると、トイレットペーパーなどの物が上手に流れていかず詰まりを起こすことがあります。
これはトイレの構造上しかたのないことです。
どんなに気をつけていても詰まってしまうリスクはあると想定しておきましょう。
急にトイレが詰まるというとトラブルはどんな家庭でも起こり得るということです。
壁排水のトイレが詰まる原因とは?
では本題である壁排水のトイレが詰まる原因を見ていきましょう。
トイレが詰まる原因は複数考えられ、1つではありません。
何かが詰まるという点では同じですが、何が詰まるのか、なぜ詰まるのかは異なります。
まずはトイレが詰まる原因についてまとめておきます。
詰まりの原因としては、人為的なものとトイレの故障などによるものに分けられます。
人為的な原因 | トイレの故障などの原因 |
---|---|
トイレットペーパーや排泄物 | 水漏れによる水不足 |
異物を流した | タンク付便器の連続使用による水不足 |
流す水の量が少ない | 排水管の錆びで口径が狭く排水不良 |
以上のようなことが主な原因として考えられます。
壁排水のトイレが詰まってしまった時は状況をよく確認し、どうして詰まったのかを考えることが正しい対処をするための第一歩です。
では次の項目から1つ1つの原因についてより詳しく解説していきます。
トイレットペーパーや排泄物による詰まり
トイレットペーパーも排泄物もどちらもトイレで流すものです。
本来、これらが原因でトイレが詰まるということはほとんどありません。
ですが原因としてもっとも多いのもトイレットペーパーや排泄物なのです。
通常、トイレットペーパーも排泄物も水を流すことで水流に押され、排水口、下水管と進んでいきます。
どちらも水によって溶ける性質もあり、かなり詰まりにくいようにはなっています。
ですが水に十分に溶けず、塊のまま流れることで詰まってしまうことも少なくありません。
特にトイレットペーパーが詰まるケースが非常に多く、その場合はトイレットペーパーを一度に使いすぎている可能性が高いでしょう。
トイレットペーパーの量が多すぎた結果、十分に水に溶けず途中で詰まってしまう形です。
基本的に排泄物だけが原因で詰まることはほぼないでしょう。
一緒にトイレットペーパーを使った際、トイレットペーパーが多すぎることで詰まりを引き起こします。
また、猫を飼っているご家庭も多いと思うのですが、猫のトイレで使ういわゆる猫砂も注意が必要です。
トイレに流せるタイプも市販されていますが、流せるタイプであっても1度に流す量は多くなりすぎないように意識しましょう。
多くの商品ではゴルフボールくらいの大きさを1度に1個流すよう注意書きがあるはずです。
まとめて流すようなことをすると詰まりの原因になってしまいます。
異物を流したことによる詰まり
水に溶けやすくトイレで使用することを想定して作られたトイレットペーパーでさえ詰まることがあります。
トイレでの使用を想定していない物であれば、簡単に詰まってしまうと言えるでしょう。
故意にしろ故意でないにしろ、そうした異物が流されることで詰まりを起こすケースも少なくありません。
特に多く見られるのはティッシュペーパーです。
トイレットペーパーが切れているなどの理由で、一時的にティッシュペーパーを使うという経験は皆様も過去にあるのではないでしょうか?
身近にあってトイレットペーパーの代用ができる物となるとティッシュペーパーしかありませんが、ティッシュペーパーはトイレットペーパーとは異なり簡単には水に溶けません。
そのため水を流しても塊のまま流れて行くことになり、非常に詰まりやすくなっています。
どうしてもという時もあるとは思いますが、基本的にトイレにティッシュペーパーは流さないようにしましょう。
また、トラブルで異物を流してしまうようなケースも見られます。
たとえばズボンのポケットに入れていた物が気づかないうちにトイレに落ち、そのまま流してしまったというようなケースです。
特に近年ではスマホを落としてしまうというトラブルが頻発しています。
肌身離さずスマホを持ち歩くという人も多いはずですが、こうした普段持ち歩いている物が詰まりの原因になることもあります。
詰まり防止のためにも、必要ない物はトイレには持ち込まないという意識も必要でしょう。
流す水が少ないと詰まりの原因に
トイレによっては水を流す際、大か小かで水の量を変えられるようになっています。
一般的にはハンドルを奥に回すか、手前に回すかで大洗浄か小洗浄かの切替を行っています。
たとえば節水のためにと大をした時も小洗浄で流す人がいます。
これが詰まりの原因になってしまうのです。
小洗浄だと水の量が足りず、トイレットペーパーや排泄物が十分に流れて行かないからです。
途中で止まってしまい、詰まりを引き起こします。
大をした時は大洗浄、小をした時は小洗浄ときちんと使い分けることが大切です。
また、止水栓が十分に開いていない場合も水の量が少なくなります。
もし普段トイレを使っていて水の量が少ない、勢いが弱いと感じたら止水栓の状態をチェックしてみるのも1つの方法です。
止水栓が多少閉まっているようなら開いてあげましょう。
こちらもやはり節水のためにとあえて少し閉めている人がいますが、詰まり対策を考えるならあまり良い方法ではありません。
節水も大事なことですが、詰まりを防ぐには十分な量の水をしっかり流すことがとても重要です。
節水型のトイレはつまりやすいの?トイレの構造や詰まる原因を解説
水漏れによる詰まり
トイレのどこかで水漏れが起きていると詰まりの原因になります。
洋式トイレの場合、トイレ本体の上部に手洗いのための蛇口があります。
トイレの水を流すと蛇口から水が出てきて手を洗えるようになっていますが、この蛇口から水漏れすることで詰まりの原因になるといったこともあり得るのです。
水漏れをしているということは、タンク内の水が途中で漏れ出てしまい、十分な水量がタンクに貯まりません。
結果的に水を流した時も量が不十分で、勢いもないためトイレットペーパーや排泄物がしっかり流れなくなります。
やがて排水口や下水管で詰まりを起こしてしまうのです。
水漏れが原因の場合は詰まりを解消すると同時に、水漏れの修理もしなくてはいけません。
でないといつまでも水漏れし続けますし、また詰まりを引き起こしてしまうかもしれません。
トイレの使い方に十分気をつけていても、水漏れなどによって自然と詰まってしまうこともあると考えておきましょう。
壁排水のトイレが詰まった時の対処方法は?
ここからは実際に壁排水のトイレが詰まってしまった時、どうやって対処すれば良いのかを見ていきます。
また、自分で対処可能なケースもあれば、業者に依頼した方が良いケースもあり、その点についても確認しておきましょう。
まずは対処方法や自分で対処可能かどうかなどをまとめておきます。
ラバーカップを使う場合や、バケツで水・ぬるま湯を流してみたとき、洗浄剤を使う項目についてです。
自分で対処できるか、業者に依頼するべきかの判断です。
トイレットペーパーや排泄物の詰まり | 自分でも対処可能 |
異物の混入 | 業者に依頼した方が良い |
トイレの水漏れ・故障など | 業者に依頼した方が良い |
以上のようになります。
まずは自分で対処方法を試してみて、どうしても詰まりが解消されないなら業者にお願いするというのも良いでしょう。
ラバーカップを使った対処について
トイレが詰まった時、多くの人が使用を考えるならラバーカップでしょう。
棒の先端にゴム状のカップが付いていて、詰まった物を吸引することで取り除けます。
あらかじめ用意しているというご家庭も多いのではないでしょうか?
トイレットペーパーや排泄物が詰まった程度であれば、ラバーカップを使うことで解消されることがほとんどです。
使う際の手順ですが、まず床には新聞紙などを敷いて水が飛び散っても大丈夫なようにします。
次にトイレの電源はオフにし、プラグも必ず抜いておきましょう。
これはラバーカップを使う場合だけでなく、詰まりの対処をする際は必ずやっておくべき手順です。
水の飛び散り対策とトイレの電源を切ること、これは準備の段階で必ず済ませておきましょう。
準備が済んだらラバーカップを排水口に押し込みながら入れ、一気に引き上げます。
これで詰まっている物が引っ張り出される仕組みです。
つまりが解消されるまでなどか繰り返してみましょう。
詰まりが解消されれば水がスムーズに流れていくのですぐにわかります。
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バケツで水・ぬるま湯を流す
バケツに水やお湯を入れ、トイレに向けて流すという方法です。
これによって詰まっている物が水やぬるま湯に溶けたり、水流に押される形で流れていき詰まりが解消されることがあります。
ラバーカップの時と同様、まずは準備を済ませてから作業をしましょう。
詰まりが解消されないと流した水がさらにトイレに貯まっていきます。
溢れてしまっても大丈夫なように十分に対策をしておきましょう。
ラバーカップも使わずとても手軽な方法ですが、水やぬるま湯を流すだけの方法なので軽度の詰まりしか解消できないことが多いです。
洗浄剤を使う
トイレ専用の特殊な洗浄剤があります。
たとえば尿石除去剤が詰まり解消に有効なことがあるので試してみましょう。
トイレの排水口などは尿石が溜まりやすく、尿石によってスペースが狭くなり物が詰まりやすくなることがあります。
こうした場合、尿石除去剤のような洗浄剤を使うことで詰まりが解消される可能性が出てきます。
使い方も簡単で、洗浄剤をトイレに投入ししばらく放置、その後水を流すだけです。
手軽に使えて自分でも対処可能ですが、しばらく放置する必要があるため時間がかかります。
すぐにトイレを使いたい場合などは不向きな方法と言えるでしょう。
また、洗浄剤を常備しているというケースは少ないでしょうから、まずは購入してこないといけないという面倒さもデメリットです。
自分で対処するか、業者に依頼するか
トイレが詰まった時は自分で対処するのか、それとも業者に依頼するのかも検討しなければいけません。
目安として、トイレットペーパーや排泄物が詰まっただけであれば自分でも十分に対処が可能で、業者を呼ぶ必要性も少ないでしょう。
逆に考えると、それ以外のことが原因で詰まりを起こしている場合は、業者に依頼した方が無難と言えます。
作業が難しかったり時間がかかるなど、自分ではなかなか解消できないというケースが増えます。
ただ、何が原因でトイレが詰まっているのかは見ただけではわからないことも多いのが実際のところです。
そのためまず自分でラバーカップを使うなどして対処をしてみて、それでも詰まりが解消されないなら業者を呼ぶというのが一般的な流れになるでしょう。
もちろん目に見えて大きな異常があって、自分では対処できないと感じたらすぐに業者を呼んでしまって構いません。
業者に修理をお願いすれば費用がかかりますが、確実に対処してくれますし自分で手間をかけて作業をする必要もなくなります。
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まとめ
壁排水のトイレはさまざまな原因によって詰まることがあります。
いざ詰まった時、原因を調べて正しい対処をすることが重要です。
自分で対処し詰まりを解消することもできますが、自分では作業が難しくプロの業者にお願いした方が良いこともあります。
まず自分で対処してみて、それでも詰まりが解消されない時は無理をせず業者に修理をお願いしましょう。
プロの知識と技術でしっかりと対応してくれます。
また、そもそもとして詰まりが起きないよう普段からトイレを正しく使うことも大切です。
異物を流さないのはもちろん、水も十分に使って詰まらないように意識しましょう。