排水管の錆が原因で詰まりが起きた時の修理方法や業者の料金相場
排水管は経年劣化によって錆びます。
錆びるのは鉄管で、新しい家では用いられていませんが古い住宅ですと金属管のままという場合も多いです。
錆がひどくなるとコブをつくり詰まりの原因となったり、水漏れを引き起こすリスクも高まります。
排水管の錆によって詰まりが起きた場合のノウハウについて解説します。
目次
排水管が錆びる原因と錆びて詰まりが生じた時の特徴
排水管内部の状態を目視することはできないため発見が遅れてしまいがちですが、排水管が錆びてしまうことがあります。
錆が生じた排水管は脆くなるため、水漏れやつまりなどさまざまな水トラブルの要因になりやすく厄介です。
まずは排水管が錆びる原因と、錆による詰まりが発生した際の特徴について見ていきましょう。
経年劣化が原因となることが多い
排水管内に錆が生じる根本的な原因は、経年劣化であることがほとんどです。
頑丈そうに見える排水管ですが、耐用年数があります。
水道管における耐用年数は40年です。
よって40年近く経過すると錆付きやすくなるのはもちろん、他にもさまざまな不具合を起こしやすくなります。
たとえば脆くなり突発的な衝撃で折れてしまったり、亀裂が入るなどさまざまです
もちろん錆付かないよう塗装がおこなわれていますが、その塗装もある程度年数が経過することで剥がれ落ちていきます。
排水管内の錆は、ある意味自然現象なのです。
錆ができやすい排水管とは?
排水管に錆が生じるのは自然なことですが、錆のできやすさに関しては素材によりけりです。
錆付きやすい排水管もあれば、そうでない排水管もあります。
配管の種類において錆びつきやすいものとして、鋳鉄管があげられます。
金属管とは以下のような排水管です。
金属管とは
- 鋳鉄管
- 銅管
- 鉛管
金属が錆びやすいのは、イメージからも分かるのではないでしょうか。
排水管本体が錆びつくこともありますが、継手などの接続部は特に錆びやすい箇所になります。
耐久性には優れていますが錆やすいという弱点があるため、近年では銅管以外の金属管は姿を消しつつあります。
銅管は熱に強いことから、現在でも給湯用として用いられていますが、接続にあたりはんだ付けが必要なため高コストです。
樹脂製排水管なら錆の心配は少ない
金属製の排水管は特性上錆びやすいですが、樹脂製のものですと錆による心配は少ないです。
樹脂製の排水管としてはたとえば以下があります。
配管の名称 | 特徴 |
---|---|
塩ビ管 | 正式名称はポリ塩化ビニルで、軽量で耐水性に優れている |
ポリ管 | 基本、生活排水では使用しません |
塩ビ管は加工性にも優れているため、低コストで用いやすいのも魅力です。
そのため近年では金属管に代わって、樹脂製の塩ビ管が主流となっています。
ご自宅の排水管がこのような樹脂製のモノである場合は、錆びによる弊害を受けるリスクは少ないです。
また塩ビ管は直射日光が苦手ですから、錆よりもこのような点に気をつける必要があります。
錆ができた場合の症状は?
金属製の排水管に錆が生じると、さまざまな不具合が起きます。
ただ錆びついただけなら何の不都合もないように感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
水道管自体にも影響を与えるため要注意です。
この後詳しくご紹介しますが、詰まりの原因となるため、水回りトラブルが懸念されます。
詰まりは状態がひどいと自分で対処できません。
業者を呼んでメンテナンスしてもらうことになりますので、金銭的な負担が大きくなりがちです。
錆によって詰まりが起きる理由
排水管の錆と詰まりは無関係に思えるかもしれませんが、実は錆つきが生じると詰まりのリスクが高まります。
特に要注意なのが、排水管の内部で詰まりが発生した時です。
内部で生じた詰まり錆は時間をかけて、大きな錆へと成長していくことがあります。
いわゆる錆コブと呼ばれる、大きな石のような錆が排水管内に付着してしまうのです。
この錆コブが内部にくっ付くと、排水管内部の勾配にも変化が出る場合があります。
通常、排水管はゆるやかな傾斜で下水へと接続するような構造となっています。
コブによって排水管内の傾斜が変わるため、場合によっては逆勾配の様な状態になる事もあります。
また、コブがあることで排水管内部が単純に狭くなりますから、水の通り道も塞がれます。
排水管内に少し汚れが生じただけでも幅が狭いため、つまりを引き起こす要因になります。
錆は水漏れにも繋がりやすい
錆はつまりだけでなく水漏れのリスクも増大させます。
時間をかけてゆっくりと排水管の壁面が薄くなっていく事もあります。
要は少しずつ、排水管の厚みが失われるようなイメージです。
薄くなってしまった排水管は、強度が弱まります。
薄くなることで穴などが開きやすくなるため、そこから水漏れが起きてしまうのです。
もちろんいきなり大きな穴があくような事態はほとんどないですが、隠れた場所の排水管ですと普段目にする機会が少ないため異変に気が付きにくいです。
気づいた時にはすでに排水管に穴があいていたということもあるため、こまめな状態確認が大切です。
錆を放置した場合は排水管に大きな影響が
錆を放置すると大変な詰まりになって、排水管の交換を余儀なくされます。
部分的な修繕で収まればよいのですが、ひどい場合排水管全体の交換にて対処しなくてはいけません。
かなり大がかりな工事となるため、そうなる前に補修をしておくのが望ましいです。
錆による詰まりの修理方法
錆によって詰まりが起きた際のリスクは、ここまでの話でお分かりいただけたでしょう。
多方面に影響が出るため、早めに対処するのが肝心です。
錆びつき自体は経年劣化によって起きるため、完全に改善させるのが難しいです。
基本的につまりが自然解消することはほぼないですから、2次被害が生じる前に詰まりを除去してしまう方が安心です。
錆によってつまりが生じた時の修理方法を解説します。
配管の錆取り方法
基本古い鋳鉄の排水管内の錆を取る事はしません。
強い薬品で錆やコブを除去する事は難しく、逆に錆で薄くなった部分の錆が剥がれ穴を開けてしまえばそこから汚水が漏れてしまいます。
基本詰まりが発生した時は弱い薬剤と弱い加圧にて少しつまりを除去し、ごまかしごまかし使用するしかありません。
基本は排水管の交換工事を行う事です。
排水管つまりの除去方法
錆が原因でつまりが起きている場合、ご自分ではつまり除去を行わない事です。
排水管内部の錆コブはつまり除去をおこなっても取り除けません。
内部の汚れに関してはつまり除去である程度落とすことができます。
排水管に流れたさまざまな汚れが錆コブにくっ付いて、さらに水の流れを停滞させることは珍しくありません。
なので、汚れを落とせばその分排水管内部の通りがよくなるため、一時的にですがつまりの改善に繋がります。
通常つまり除去できる方法はいろいろとありますが、この場合手軽に実践できるものはあまりありません。
無理に行えば排水管から漏水の可能性があるので大変危険です。
液体パイプクリーナーを使う方法
液体パイプクリーナーは、スーパーやドラッグストアなどで購入可能です。
液剤を排水管に注ぎ入れるだけの使いやすいアイテムとなっています。
ただし今回のケースで詰まりを除去するには難しいですね。
基本的な使い方は以下の通りです。
液体パイプクリーナーの詰まり除去方法
- 排水トラップなど、排水口のパーツをあらかじめ外しておく
- 記載された容量を直接流しいれる
- そのまま30分程度放置する
- 時間が経ったら水を流して、しっかりと汚れを落とす
- スムーズに水が流れるようになっていれば完了
古い鉄管の場合はこの位弱い薬でも使用するのは怖いですね。
重曹とお酢を使う方法
重曹とお酢を使う方法も、比較的軽度な汚れの際に役立ちます。
やり方は以下の通りです。
重曹とお酢を使っての詰まり除去方法
- バケツの中にカップ1杯分の重曹を降り注ぐ
- その上から被せるようにカップ2杯分のお酢を入れる
- 発砲したら排水口に流し入れます
- 10分程したら水で流す
- パーツ類を元に戻して完了
※つまってからでは効果がありませんので、つまる前に定期的に行って下さい。
重曹とお酢も、スーパーやドラッグストアで手に入るため用意しやすいアイテムです。
ポイントとしては直接流し込まない事です。
もしお酢の匂いが気になるようなら、代わりにクエン酸を用いることもできます。
クエン酸もドラッグストアなどで売られていますので、好みに合わせて選びましょう。
ラバーカップを使う方法
ラバーカップはトイレのつまり除去用というイメージが強いですが、実はトイレ以外の箇所に用いることも可能です。
キッチンやお風呂場など、さまざまな排水管のつまり除去に役立ちます。
使用手順は次の通りです。
重曹とお酢を使っての詰まり除去方法
- カップ部分を排水口に当てる
- 水をカップ全体が浸るくらいまで注ぎ入れる
- カップに圧力をかけていく
- しっかりと押し当てたら今度は一気に引き抜く
- 数回ほど同じ動作を繰り返す
- 水がスッと流れていくようになれば完了
古い鋳鉄管の場合、ラバーカップでさえも安易に使えません。
圧をかけたとたん錆がはがれそこから漏水する事もあります。
ラバーカップを排水管に使用するのであれば塩ビ管の場合だけにしておくと良いでしょう。
ワイヤーブラシを使う方法
排水管が鉄管の場合、絶対に使用しないで下さい。
排水管に穴を開けてしまう危険性が高いです。
また塩ビ管の時でも無理に使用すると抜けなくなるので、出来れば使用は控えた方が良いでしょう。
使い方は以下のとおりです。
重曹とお酢を使っての詰まり除去方法
- 排水口からワイヤーを入れていく
- ゆっくりとそのまま奥へ進入させる
- 汚れにぶつかりワイヤーが動かなくなったら、ハンドルを回して汚れを削る
- 何度か動作を繰り返す
- 汚れを削り落とすことができた感触があれば、水を流していく
- きちんと水がスムーズに流れるようなら完了
ワイヤーブラシは汚れが飛び散りやすいですから、周辺を新聞紙などでしっかり養生しましょう。
錆による詰まりを業者に依頼する時の基礎知識
排水管全体がびっしりと錆びているような時は水道業者でも修理するのが難しいです。
また詰まり具合によって、業者に相談して下さい。
軽いつまりなら、つまり除去法をおこなえば直る可能性もありますが、頑固な詰まりは業者でも難しい作業です。
よって状態を見極めたうえで、業者に依頼するべきか考えましょう。
業者をお願いする際は注意点もいくつかあるため、闇雲に依頼するのはNGです。
どんな点に気をつけて業者を呼べば失敗しないのか見ていきましょう。
賃貸はオーナー側の許可を取ってから
業者を呼ぶ前に、賃貸は確認を取らなくてはなりません。
管理会社や大家さんに連絡を入れ、修理業者をお願いしてもよいか尋ねましょう。
理由として、賃貸によっては自己都合での修理をNGとしている場合もあるからです。
入居時の規約で定めてあるため、勝手に修理を依頼すると規約違反となってしまいます。
水トラブル発生時は焦りから冷静な判断ができなくなりがちですが、修理依頼の前にオーナー側への確認は必須です。
万一勝手に修理をおこなってしまうと、本来はオーナー側が負担しなければならない修理費用を自分で払うことになってしまう可能性もあります。
また、しっかりと修理を実施したのか確認が取れないため、退去時のトラブルに発展しやすいです。
余計なリスクを避けるためにも、オーナー側の許可を得てから修理をおこないましょう。
錆による詰まりを修理する時の費用相場
業者を呼ぶとなると気になるのが費用面です。
正直費用に関しては排水管の状態にもよりますし、業者の設定価格にもよるところが大きいです。
そのため必ずしも相場内で費用が収まるとは限りません。
ただし目安料金を知っておかないと妥当な金額なのか判断が付かないですから、おおよその相場を押さえておくとよいでしょう。
費用相場については、以下の表をご確認下さい。
修理内容 | 費用相場 |
---|---|
薬剤を使用した作業 | 8,000円程度 |
部分的な排水管の交換 | 現場見積 |
排水管の引き直し | 現場見積 |
簡単なつまり除去 | 8,000円~12,000円程度 |
トーラーを用いたつまり除去 | 現場見積(要相談) |
高圧洗浄によるつまり除去 | 現場見積(要相談) |
また、業者によっては深夜や早朝に依頼すると時間外料金を加算するところもあるため、そちらの確認も必要です。
事務所から現地までの距離が遠い場合は出張費も高額になりがちですから、トータルで判断するようにしましょう。
排水管全体の交換が必要なら料金は高くなる
錆によるつまりですと、排水管の交換が必要になる可能性もあります。
部分的な補修や交換でも、全体の敷き直しでも高額出費を覚悟しなければなりません。
そもそも錆ができやすい排水管は、金属管です。
現在、金属管はほとんど用いられておらず、主流は樹脂製の排水管に移っています。
よって錆により金属管の状態が悪くなった場合、思い切って排水管を樹脂製に切り替えます。
びっしりと錆が出来ているようだと、排水管を部分的に交換してもまた別の箇所でつまりが発生します。
樹脂製の排水管は錆びにくく性能のも良いです。
金属管が錆びついた時は寿命と考え、排水管全体の引き直しを検討するのも一つの手でしょう。
詰まりの状態も料金を決める要因
排水管が塩ビ管の場合、詰まり除去を業者へ依頼する際は、詰まりの状態によっても費用が変わります。
簡単な作業なら8000円~1万2000円程度ですが、トーラー作業や高圧洗浄が必要な状況ですと金額が高くなります。
排水管内で頑固なつまりを起こしているようなら、これらの作業をおこなわなくてはならない可能性が高いでしょう。
業者選びを失敗しないためのポイント
業者に修理を依頼する場合、よく考えて業者を選ぶ必要があります。
水回り修理の業者は、どこも同じように見えて案外差が激しいです。
技術力に長けていて尚且つ良心価格で修理をおこなっているところもあれば、その逆の業者も存在します。
選んだ業者によって満足度は大きく変わるため、慎重に選ぶことが大事です。
特に価格面に関しては注意しなければなりません。
相場から明らかにズレた料金設定をしているような業者も存在します。
水道業者の料金設定は分かりにくいことが多いです。
基本料金だけでなく、作業代や出張費などさまざまな項目を設定しているのがその一因になります。
よって単に基本料金だけを比較するのではなく、総額で見比べて業者選びをおこなうことが大事でしょう。
相見積もりを取る
水道業者が提示する修理費用が妥当なものかよく見る必要があるものの、比較材料がないと正直分かりにくいです。
1社だけしか見積もりを取らないと、適正価格なのか今一つ掴みにくいという実情があります。
そのため、なるべくなら相見積もりを取るのがおすすめです。
急な水トラブル発生時は余裕がない状況ではあるものの、出来れば2~3社から見積もりを取ったうえで業者を決めた方が良いでしょう。
数社の見積もりを知ることで相場観を養いやすく、明らかに適正価格を提示していない業者を避けることができます。
ただし、業者によっては見積もりだけでも費用が取られるため注意しましょう。
また、中には見積もりは無料と言いながら、出張費やキャンセル料など別の項目で費用請求してくる業者もあります。
そのような業者に引っかからないために、見積もり後のキャンセル規定をきちんと確かめておくことが大事です。
なるべく近場の業者を選ぶ
水道業者を選ぶ際は、なるべく近場の業者を選ぶというのもポイントです。
やはり余裕がない状況ですから、一刻も早く駆けつけてもらえる業者ならメリットが大きいです。
また、遠くの業者になれば出張費が高くなる可能性もあるため、費用を抑えるためにも近場の業者にしておくのが無難でしょう。
アフターサービスのことを考えても、近場であれば頼みやすいですよ
地域密着型の業者なら、どんな業者か情報を掴みやすいのも魅力です。地元での評判を落とさないために、しっかりと修理してくれる可能性も高いですね
まとめ
排水管が金属管の場合、錆が生じるのは珍しいことではありません。
錆がひどくなると管内にコブを形成し、排水管内部を狭めてしまいます。
そこにゴミや汚れがくっ付くことで完全に穴を塞ぎ、水を停滞させる要因となりやすいです。
また、古くなると排水管の壁が薄くなるため、亀裂や破損が生じ水漏れを起こしやすくなるのにも注意しなければなりません。
錆はさまざまなトラブルに繋がりやすいのです。
あまりにも状態が悪いようなら排水管の交換を検討しましょう。