止水栓とは?設置場所や構造と水道から水漏れする原因と対処方法
止水栓は水漏れが発生した時に水道を止めるために使用されることが多いです。
しかし水漏れは頻繁に起きることがないので、止水栓を使う機会は限られてしまいます。
普段使っている蛇口と違ってあまり使わないため、止水栓がどこに設置されているか知らない方が多いかもしれません。
設置場所によっては、止水栓は目立たないよう隠されています。
今回は止水栓の設置場所がどこか、止水栓はどのような構造なのかを解説します。
止水栓から水漏れする原因や対処方法についても説明していきます。
目次
水道の止水栓とは一体何なのか調査してみた
止水栓とは、給水管と給水器具の中間に設置されている水栓のことです。
普段使用している蛇口と違い、水漏れが発生した時やメンテナンスをする時に水道を止めるために使用します。
室内の次のような場所に止水栓は設置されています。
- トイレ
- 台所
- 洗面所
水道の使用頻度が高い場所に止水栓は設置されていますが、詳しい設置箇所については後ほど説明していきます。
止水栓の役割は何?
止水栓の役割は、一時的に蛇口から水が出ないよう止めることです。
蛇口を新品へ交換する時や蛇口からの水漏れを直す時に、水が出っぱなしでは作業ができません。
作業前に止水栓を閉めることで蛇口へ水が供給されず、落ち着いて作業を行えます。
台所や洗面所など、水とお湯が両方出る混合栓タイプの止水栓の時には両方閉めてください。
気をつけたいのは古い止水栓は閉めても閉まりきらないことがあります。
止水栓を閉めた後、蛇口から水が出なくなったかどうかを確認してから作業を始めましょう。
止水栓には水を止めるだけではなく、水量と水圧を調整する役割もあります。
蛇口をひねった時に水量が多すぎたり水圧が強すぎたりする時に止水栓で調整することができます。
水量と水圧が強すぎると、少し蛇口を開けただけで強い勢いで水が出てきて洗面台やキッチンがびしょびしょになります。
シャワーを浴びる時も水圧が強すぎると痛いと感じるかもしれません。
集合住宅などは水圧が強すぎることがあるので、止水栓の開き具合で水量や水圧を調整してください。
水の跳ね返りを押さえたい時やシャワーの水圧を下げたい時には、止水栓で調整しましょう。
止水栓は元栓と違うのか
止水栓は元栓と同じだと勘違いされることがありますが、厳密に言うと違うものです。
確かに止水栓も元栓も水道を止める部分なので果たす役割は似ていますが、実は別物です。
止水栓は室内のあらゆる場所に設置されており、止水栓より先の蛇口から水が出ないようにします。
元栓は水道メーターの近くに設置されていて、家全体の水道を操作できる役割があります。
止水栓と元栓の違いを理解しておくことは水漏れなどトラブルが発生した時に役立ちます。
なぜなら元栓からの水漏れは、一般の水道業者に依頼することができないからです。
水道メーターに設置されている元栓のトラブルは、水道局へ問い合わせなければなりません。
止水栓のトラブルであれば一般の水道業者で対応できます。
もし元栓に問題が起きた時には、管轄地域の水道局へ連絡してください。
水道局によって修理の手順や料金が違っているので前もって確認しておきましょう。
水道の元栓から水漏れが起きた時の正しい対処法と止水栓との違いについて
止水栓の構造や種類について理解しておこう
止水栓と普段使っている蛇口の構造はほとんど同じです。
ハンドルが閉められている時にはケレップが給水口を押えているので水道が流れず、ハンドルを開けるとスピンドルが上がってケレップも水圧で上昇し、水道が流れる構造になっています。
止水栓の種類は5つあります。
ハンドルタイプ | 一般的な蛇口と同じ形状 |
溝タイプ | マイナスドライバーで開閉できる溝がある形状 |
ストレートタイプ | 水道の流れがまっすぐな形状 |
アングルタイプ | 水道の流れが直角に変わる形状 |
クランクタイプ | 混合栓を支える形状 |
ハンドルタイプと溝タイプは、止水栓の開閉する部分の形状によって変わります。
止水栓の全体的な形状はストレートタイプとアングルタイプ、そしてクランクタイプへ分けられます。
ストレートタイプとアングルタイプは、トイレや洗面所、そして台所によく使われます。
クランクタイプは、お湯を使用する台所や浴室で使用されることが多いです。
ストレートタイプは給水管の形がまっすぐになっており、給水管の途中に止水栓が取り付けられています。
水の流れは下から上になっていることが多いです。
アングルライプは、給水管に対して蛇口までの給水パイプやホースが直角に取り付けられています。
直角に曲がる部分に止水栓が取り付けられている形です。
水道の流れは下から上に向かっていくパターンが多いです。
クランクタイプは、水とお湯を混ぜる混合栓を支えるクランク部分に止水栓が埋め込まれています。
シャワー水栓の台座、取付け部分に埋め込まれているタイプが一般的です。基本的にはハンドルタイプ以外は全て溝が切ってあり、マイナスドライバーで回すような構造になっております。
止水栓の設置場所について徹底解説
止水栓の設置場所は家によって違います。
家やマンションが建設された年代によっても止水栓のある場所は違うので気をつけてください。
築年数の高い物件では止水栓が室内に設置されておらず、屋外の元栓でしか水が止められないことがあります。
事前に止水栓の場所を知っておかなければ、水漏れが発生した時にどこで水を止めればよいか分からず焦ってしまいます。
この機会に、家のどの場所に止水栓があるのか把握しておきましょう。
止水栓の設置場所
止水栓が設置されている一般的な場所を表にしました。
室内の水回りエリア | 止水栓の設置場所 |
---|---|
トイレ | トイレタンクの左側(壁給水の場合) |
トイレ | トイレ内左奥の床部分(床給水の場合) |
台所 | シンク下収納内奥 |
台所 | シンク下収納内奥にあるカバーを開けた部分 |
浴室 | 水栓金具本体の取付け部分(壁付きの場合) |
洗面所 | 洗面台の収納内奥 |
洗濯室 | 洗濯機への蛇口付け根部分(混合水栓の場合) |
屋外 | 給湯器設置部(ハンドル又はコック) |
止水栓は室内のそれぞれの水回りエリアに設置されています。
通常、トイレの中にはトイレタンクの横かウォシュレットの下のどちらかに止水栓が設置されています。
トイレタンク横の止水栓は溝タイプであればマイナスドライバーで閉めることができ、ハンドルタイプなら蛇口を閉める要領で閉めてください。
溝タイプもハンドルタイプも時計回りに回せば水道を止められます。
ウォシュレットの止水栓は、トイレタンク横の止水栓と同じになっているタイプと別個のタイプがあります。
別個のタイプの場合、ウォシュレットの下に止水栓があります。
トイレ止水栓から水漏れ?原因と修理方法や止水栓が固い場合の閉め方
台所の止水栓は大抵シンクの下に設置されています。
シンク下の調理器具などを収納するスペースに設置されており、水道と給湯器から流れてくるお湯を止める栓がそれぞれ付いています。
両方とも時計回りに回せば水道を止められます。
家によっては止水栓が見えないようカバーが付いていることがあります。
カバーはネジで留められているので、ドライバーでカバーをまず外してから止水栓を調整してください。
築年数が古い建物では、カバーが破損しやすくなっているので気をつけましょう。
浴室の止水栓は、シャワー水栓本体に止水栓が埋め込まれているタイプが一般的です。
シャワー水栓の取付け部分にある溝をマイナスドライバーで回せば水道を止められます。
もしシャワー水栓の中に止水栓が付いていないのであれば、元栓を使って水を止めてください。
洗面所の止水栓は洗面台の下の収納スペースに設置されています。
水道とお湯のそれぞれに止水栓が付いており、溝タイプとハンドルタイプのどちらかが多いです。
溝タイプであればマイナスドライバーを使い、ハンドルタイプであれば蛇口を使って閉めてください。
他の止水栓と同じように時計回りで水を止められます。
洗濯室にある止水栓は、洗濯機への給水蛇口と共有になっているタイプが一般的です。
給水蛇口自体に水道を止めるか開くかを調整できる機能が付いています。
水道を止める時には止と書かれている方へハンドルを回し、水道を流す時には開と書かれた方へハンドルと回してください。
給水蛇口自体から水漏れしている場合、止へハンドルを回しても水漏れが続くなら元栓で水を止めなければなりません。
屋外にも止水栓は設置されており、給湯器が取り付けられている場所に止水栓があります。
覚えておきたいのは、給湯器のメーカーによって止水栓のタイプが違うことです。
必ず給湯器の説明書で止水栓の場所を確認してから閉めるようにしてください。
説明書が見つからない時にはメーカーへ直接連絡しましょう。
給湯器には水道管だけでなくガス管も繋がっており、ガスの元栓があるので誤って操作すると大変危険です。
一般的な給湯器の止水栓は2種類あります。
- 単水栓
- 湯水混合水栓
単水栓は水道とお湯のどちらかだけを室内へ供給したり止めたりできるタイプです。
湯水混合水栓は、水道とお湯を混ぜて室内へ供給したり止めたりできるタイプになっており、いくつかの種類があります。
よく使われる湯水混合水栓の種類は以下の通りです。
- 2ハンドル
- シングルレバー
- ミキシング
- サーモスタット
各種類によって操作の仕方が異なっています。
給湯器の止水栓を自分で操作するのが不安な時には水道業者へ相談してください。
元栓の設置場所もチェック
止水栓が見つからない場合や、蛇口と止水栓がセットになっている箇所の水道を止めたい場合には元栓を閉める必要があります。
いざという時に元栓をすぐに見つけられるよう元栓の設置場所もチェックしておきましょう。
マンションやアパートなどの集合住宅の元栓は、玄関ドアの横に設置されていることが多いです。
玄関ドアの横に小さめの扉があり、中のスペースにガスメーターと一緒に設置されています。
水道メーターの脇にあるパイプが付いている栓が元栓です。
集合住宅によっては、複数の部屋の水道メーターを同じ扉の中に収納していることがあります。
他の部屋の水道メーターも一緒に収納されている時は、隣人の元栓を閉めないよう注意してください。
大抵、水道メーターに部屋番号が書かれているので間違いにくいです。
どの水道メーターが自分の物か分からない時には、管理会社や大家へ確認してください。
古いアパートでは、元栓が敷地入り口の地面の中に埋められていることがあります。
水道メーターが入っている箱の中に元栓も収納されていることがあるので、一度チェックしておくとよいです。
戸建ての元栓は、敷地の中の地面に水道メーターと一緒に収納されています。
地域によって異なりますが、青や白の蓋で下記のような名前が書かれています。
- 水道メーター
- 量水器
- 止水栓
敷地の隅の方や、道路に近いところに設置されていることが多いです。
中の元栓を止める際は止水栓と同じく時計回りへ回すと水道を止められます。
元栓には手で簡単に回せるハンドルタイプと、道具を使って回せるつまみタイプがあります。
安全に元栓を止める時には2つの道具を揃えてください。
- ゴム手袋
- 水栓用プライヤー
ゴム手袋があればハンドルタイプの元栓を回しやすくなりますし、水栓用プライヤーがあればつまみタイプの元栓を少ない力で回せます。
どちらもホームセンターで購入することができます。
元栓を閉めた時には、水道メーターを見て水道の流れが完全に止まったことを確認してください。
メーターの中のパイロットと呼ばれる部分を見ると、水道の流れをチェックできます。
水道が流れている時にはパイロットはグルグルと回転し、流れが止まるとパイロットは一切動きません。
止水栓の水道から水漏れする原因と対処方法
止水栓の水道から突然水漏れすることがあります。
水道関係の設備は使用して10年を超えると劣化が始まってきます。
止水栓の水漏れの原因になりやすいパーツは次の通りです。
- スピンドル
- 水栓ハンドル内パッキン
- ナット
止水栓を長年使用しているとスピンドル部分がすり減って水漏れに繋がります。
ナットなどの金属パーツが腐食することや、水栓ハンドル内パッキンが経年劣化してひび割れることで水漏れするケースもあります。
止水栓からの水漏れに対処する方法
止水栓からの水漏れにはスピンドルの劣化が関係していることが多いので、スピンドルの交換方法を知っておきましょう。
スピンドルの交換手順は6つのステップに分けられます。
- 元栓を閉める
- 止水栓のハンドルを取り外す
- 古いスピンドルを外す
- 新しいスピンドルを取り付ける
- ハンドルを元に戻す
- 元栓を開けて止水栓の水漏れがないかチェック
最初に元栓を閉め、完全に水道が止まったことを確認してください。
交換する止水栓がハンドルタイプであれば、ハンドルの真ん中にあるカラービスをレンチで外した後、止水栓のハンドルを取り外せます。
ハンドルを外した後に古いスピンドルが見えるので、スピンドルをレンチで外していきます。
ゆっくり反時計回りに回していくと外れますが、硬くて動かない時にはレンチで軽くたたいてあげるとよいです。
スピンドルが外せたなら新しいスピンドルを取り付けてください。
新しいスピンドルを取り付ける際は、最初に軽く手で締めてからレンチを使って締めていきます。
あまりきつく締める必要はありません。
次に止水栓のハンドルを戻してあげてください。
最後に元栓を開けて止水栓から水漏れがしていないかチェックします。
止水栓のパーツを交換する際は、元のパーツと同じ物を購入してください。
各建物によって使われているパーツは違うので、インターネットを使って交換パーツの品番を調べましょう。
大抵の止水栓には型番号のシールが貼られています。
トイレの手洗い管からの水漏れは何が原因?自分で修理することはできる?
止水栓とは給水管と蛇口などの給水器具の間に設置されている水栓です。
水漏れトラブルが発生した時などに止水栓を閉めることで、修理作業や蛇口の交換を行なうことができます。
止水栓の設置場所はトイレタンクやウォシュレットの下、台所シンクの下や洗面台の下部にあります。
目立たないところに設置されているので、止水栓の場所を前もって確認しておきましょう。
浴室の止水栓はシャワー水栓と一体になっていることが多いですし、洗濯室の止水栓は洗濯機の給水蛇口と一体になっていることがあります。
止水栓の構造は普段使う水道蛇口とほぼ同じです。
内部のスピンドルや、水栓ハンドル内パッキンが劣化してくると水漏れが起きることがあります。
劣化したパーツの交換は自分でもできますので、水漏れの際には挑戦してみるのもよいでしょう。