水道の根元の水漏れで考えられる原因は?つなぎ目を自分で修理してみる
水道の根元から水が滲みでているような気がする、水を出すと根元部分からたくさん水が溢れ出てくるという水漏れの症状でお困りではありませんか?
水漏れは水道代がかさむだけではなく、室内の結露やカビを発生させたり、建具を傷ませるなどあらゆる部分に悪影響を及ぼしますので、見つけたら早めに対処するのがベストです。
とはいえ、少しの水漏れでも修理業者を呼ぶの?水道修理は高いのでは?とお悩みの方も多いことでしょう。
実は、水道の修理は自分で行うことができます。
水道に関する正しい知識をもち、原因を特定できれば、高額な費用をかけることなくトラブルを解決できるでしょう。
今回は水道の根元の水漏れで考えられる原因と、つなぎ目を自分で修理する方法についてご紹介します。
難しいと思われがちな水道修理の手順について詳しく解説していますので、是非最後までご覧ください。
目次
根元の水漏れで考えられる原因は劣化と衝撃
水道の水漏れには様々な症状が見られます。
例えば、蛇口部分から水がポタポタと出続けている。
これは、水を出していない時に見られる症状です。
一方、本記事でご紹介する根元の水漏れは、パイプの根元や止水栓のつなぎ目から水が漏れるという症状が見られます。
根元からの水漏れは、水を出しているときに起こるというのが一つの特徴です。
このような水漏れが起こるのは、劣化や衝撃によって何らかの不具合が生じたことが原因であると考えられます。
水道の寿命は10~15年
水道の水漏れは症状や原因にかかわらず、経年劣化が原因で起こるのがほとんどです。
水道の耐用年数は10~15年と言われています。
家族構成や使用頻度によって異なりますが、毎日のようにキッチンを使うご家庭の場合は10年前後経つとトラブルが顕著に表れ始めるでしょう。
耐用年数を過ぎ、水漏れ等の症状が見られた場合は、接続部分のパッキンやカートリッジ等の内部部品が交換時期を迎えていると考えられます。
ハンドルをひねる、レバーを上下に動かすという動作はパッキンに大きな負荷を与えるうえ、ゴム製のため経年劣化によって変形しやすいため、水漏れが起きてしまうのです。
経年劣化による水漏れは、症状の進行が鈍く、気付くのが遅れる傾向にあります。
突然水が噴き出すのではなく、劣化部分からじわじわと範囲が広がっていくため、気付かないうちに水漏れがひどくなっていたというケースも少なくありません。
最近水道料金が少し高くなったなと感じる、片付けの後シンクを拭きあげているのにいつも根元部分から水が出ているというのは、経年劣化による水漏れが原因となっている可能性が高いでしょう。
衝撃によって接続部が緩んでいる
水道付近での作業中に重いものを落として水道本体にぶつけてしまった、地震で大きな揺れが発生したという出来事でも水漏れが起こる場合があります。
つなぎ目のナットが緩んだ、パッキン等の部品がずれてしまった、つなぎ目に穴が空いてしまったのが原因と考えられます。
特に壁付きのシングルレバー混合栓ですと、レバーの上げ下げの動作が強いと接続部分に負担がかかりやすくなるため、衝撃によるつなぎ目の緩みが発生しやすくなります。
蛇口の開け閉めによるウォーターハンマー現象も、水漏れの要因となっているかもしれません。
これは、水道の開け閉めによる流体の急停止が圧力エネルギーとなり、水道管内に急激な圧力変化をもたらすことで生じる現象です。
衝撃によって水道の様々な部品を揺らし、高まった水圧によってハンマーのような音を鳴らします。
ウォーターハンマー現象は水道器具そのものや給湯機能のセンサー、水道の根元のつなぎ目部分にも損傷を与え、水漏れをはじめとする多くのトラブルを発生させる原因にもなります。
軽度の不具合であれば自分で修理し、水漏れを解決できますよ。
とはいっても、水道にはいくつかの種類があり、構造や水漏れが起こる原因、修理方法が異なります。
まずは水道の種類について詳しくみていきましょう。
水道の種類と構造
住宅にはあらゆる場所に水道がありますが、全て同じものではないでしょう。
キッチン、洗面台、トイレの洗面器、浴室では、それぞれ異なる水道が使われているのではないでしょうか。
下記の表は、一般的な住宅に設置されることの多い水道の種類と仕様についてまとめたものです。
混合栓の種類 | 仕様 |
---|---|
単水栓 | 1つの蛇口で水又は湯の流量を調節する |
2ハンドル混合栓 | 2つのハンドルで水と湯それぞれの流量を調節する |
シングルレバー混合栓 | 1つのレバーを上下左右に動かして水と湯の流量と温度を調節する |
サーモスタット混合栓 | 自動温度調節機能付きで吐水温度を一定に保つ |
単水栓は屋外等の水回りに、2ハンドル混合栓の使用率は段々と減ってきたものの、洗濯機用水道や洗面所で多く使われています。
現在最もメジャーなのはシングルレバー混合栓です。
作業中でも簡単に流量や温度を調節できるため、キッチンに多く採用されています。
温度を一定に保つサーモスタット混合栓は浴室の混合栓として採用されるのが一般的です。
根元からの水漏れの原因を特定する
ここでは、水道の種類ごとに根元から水漏れしている原因を探っていきます。
種類ごとに考えられる原因を下記表にまとめましたのでご確認ください。
混合栓の種類 | 考えられる原因 |
---|---|
単水栓 | パッキンの劣化/ナットの緩み |
2ハンドル混合栓 | パッキンの劣化 |
シングルレバー混合栓 | パッキン/カートリッジの劣化 |
サーモスタット混合栓 | 開閉バルブの劣化/パッキンの劣化 |
経年劣化によって水漏れが生じている場合は、パッキンをはじめとする内部部品の劣化、もしくはつなぎ目の緩みが原因だと考えられます。
水漏れ部分を分解し、内部部品の劣化具合を確認しつつ、ゆるみを直すことで水漏れが改善される可能性が高いでしょう。
水道の交換作業となると少し難しいですが、部品の交換でしたら作業に必要な道具を揃えて手順に従って進めていけば初めてでも大丈夫ですよ。
つなぎ目を自分で修理する方法
ここからは、水道の種類別につなぎ目を自分で修理する方法をご紹介していきます。
まずはその前に、全ての作業に共通する事前準備と用意する道具についてお伝えしていきます。
水漏れの修理を行う際は、必ず水道の元栓を閉めましょう。
元栓を閉めずに作業を行うと水が飛び散ったり、場合によっては大規模な水漏れとなる可能性があります。
各ご家庭によって元栓の場所は異なりますので、事前に確認し、忘れずに閉めてください。
また、水道を分解する際にはネジやナットを取り外す必要があり、その為の道具が必要となります。
専用の道具でなければ部品を傷付けてしまい、元に戻せなくなる可能性がありますので、下記の道具を必ず準備しましょう。
- ドライバー
- ラジオペンチ
- モンキーレンチ
- トルクレンチ
- ピンセット
では、水道の種類別に修理方法をみていきます。
単水栓
単水栓の根元から水漏れが起こるのは、パッキンの劣化又はナットの緩みによるものだと考えられます。
ナットを取り外し、パッキンを交換しましょう。
- ラジオペンチでハンドルを取り外す(青又は赤のビス→ハンドルの順で外す)
- モンキーレンチでナットを取り外す
- パッキンを取り出し、新しいものと交換する
- 逆の手順で部品を取り付ける
ナットを取り外したらパッキンが見えますので、新しいものと交換しましょう。
ナットを取り付ける際はゆるみが無いようしっかりと回すことが大切です。
単水栓は構造がシンプルのため、修理も比較的簡単に行うことができるでしょう。
2ハンドル混合栓
2ハンドル混合栓の根元から水漏れが起こるのは三角パッキン(黒く、小さなドーナツ状の部品)の劣化によるものだと考えられます。
2ハンドル混合栓は上から順に、カラーキャップ→ビス→ハンドル→カバーナット→三角パッキン→座金→スピンドル→コマ→ケレップ→ナットで構成されています。
細かな部品が多いため、作業の際は受け皿等を用意し、無くさないよう気を付けましょう。
- ハンドルのカラーキャップを外す(マイナスドライバーの先端等でひっかけると外れる)
- プラスドライバーでネジを回し、ハンドルを取り外す
- モンキーレンチでカバーナットを外す
- パッキンを取り出し、新しいものと交換する
- 逆の手順で部品を取り付ける
ハンドル部分は単水栓のようなものやキャップが付いているものなど、水道によって異なります。
単水栓の形の場合は前項を参考にして下さい。
ハンドルキャップが付いている場合はカラービス→ネジ→ハンドルキャップ→ネジ→ハンドルの順番で取り外しを行ってください。
ハンドルが古く、サビ付いて取れにくい場合は無理に外さず、サビ取り剤等を使用しましょう。
混合栓の水道のパッキンは自分で交換できる?寿命や構造を詳しく解説
シングルレバー混合栓
シングルレバーの根元が水漏れするのは、パッキン又はバルブカートリッジの劣化が原因だと考えられます。
バルブカートリッジとは、シングルレバー混合栓の心臓部とも言える重要な部品。
水の出し止めや水とお湯の切り替えを行うなどといった機能が一つにまとめられているもので、レバーハンドルと接続しています。
バルブカートリッジが故障すると蛇口の先端部分からはもちろん、本体の胴体部分や付け根部分などといった本来水が出るはずの無いところから水漏れが起こるのが特徴です。
シングルレバーの水漏れ原因はおおよそバルブカートリッジにあると考えられますので、新しいものに交換することで解決できるでしょう。
しかし、台付きタイプのシングルレバーの場合は、パッキンの劣化も関係している可能性もあります。
胴体部分には2つのパッキンが取り付けられていますので、バルブカートリッジ交換と同時にこちらについても新しいものと交換しておくと安心です。
シングルレバー混合栓は上から順に、操作レバー→カートリッジ押さえ→バルブカートリッジ→吐水口→Oリング→UVパッキン→トップシールパッキンで構成されています。
修理後に正しく取り付けられるよう、取り外した順番を忘れないよう気を付けましょう。
- 操作レバーを取り外す(ドライバーでネジを外す)
- カートリッジ押さえを外す(金属製の場合はレンチで反時計回りに回す)
- バルブカートリッジを新しいものと交換する(取り付ける向きに注意!)
- 吐水口、Oリング等を取り外していき、2つのパッキンを新しいものと交換する
- 逆の手順で部品を取り付ける
バルブカートリッジの購入方法
バルブカートリッジはメーカー公式HPで購入できます。
水道本体部分に品番が印刷されたシールが貼ってありますので、よく確認し、同じものを購入してください。
水道が古くてシールがない、剥がしてしまった場合は、水道の本体に刻印されているメーカー名を確認し、HPに記載された写真と照らし合わせましょう。
カートリッジ押さえはストッパータイプ、止めバネ付きストッパータイプ、ボックスタイプ、六角タイプがあり、種類によっては取り外す際に専用工具が必要となるものもあります。
バルブカートリッジ購入の際に必要があれば一緒に購入しておきましょう。
シングルレバー混合水栓の水漏れを修理や交換する方法をまとめました
サーモスタット混合栓
サーモスタット混合栓の場合は開閉バルブの劣化が根元の水漏れの大きな原因だと考えられます。
開閉バルブとは水の出し止めを操作するためのパーツで、ハンドルの周辺部品の接続部にできる隙間を埋めるパッキンの役割も担っています。
水道の根元だけではなく、先端部分からも同時に水漏れの症状が見られる場合は、開閉バルブの故障や劣化が原因とみてよいでしょう。
手順を間違えなければ案外簡単にできますよ。
こちらの修理では固い部品を取り外すため、口の開きを多段階に調節できるウォーターポンププライヤーがあると便利です。
- マイナスドライバーを使い、混合栓についている2つの止水栓を閉める
- 止水ハンドルを回し、水が出ないことを確認
- ハンドルを横に引っ張って外す(引っ張っても取れない場合は精密ドライバーでネジを外して取る)
- 表示リング(シャワーやカランのマークが付いているもの)を折らないように慎重に外す
- ウォーターポンププライヤーを使い、固定ナットを手前に回しながら取り外す
- バルブの軸を固定しているスペンサー(白い器具)を引き抜く
- 開閉バルブを引き抜く
- 交換用の新しい開閉バルブをセットする
- 逆の手順で部品を取り付ける
スペンサーや開閉バルブは簡単に引き抜くことができるのですが、固定ナットは固く、素手では取り外すことができません。
ウォーターポンププライヤーなど専門の道具を使い、作業を行ってください。
サーモスタットの水栓で起こりやすい水漏れ箇所は?交換の費用の目安
スパウトパッキンの交換修理方法
スパウト部分の付け根からのみ水漏れしている場合は、スパウトの根元を固定しているナット内部にあるUパッキンが劣化しているためだと考えられます。
新しいパッキンに交換することで水漏れが解消される可能性がありますので、手順に従って交換修理をしてみましょう。
- マイナスドライバーを使い、混合栓についている2つの止水栓を閉める
- 止水ハンドルを回し、水が出ないことを確認
- スパウトの付け根にあるナットをモンキーレンチで時計回りに回して軽く緩める
- ナットが空回りするまで手で緩める
- ナットが緩んだらスパウトを下に引き抜く
- Uパッキンを外す
- パッキンが付いていた部分をキレイな布で拭きとり、汚れを取る
- 交換用の新しいUパッキンを濡らして本体に取り付ける
- 逆の手順で部品を取り付ける
Uパッキンは上側が開いている特徴的な形をしています。
購入する際は間違えないように気を付けましょう。
まとめ
ここまで、水道の根元の水漏れで考えられる原因とつなぎ目を自分で修理する方法について解説してきました。
水道の根元で水漏れが起こるのは、内部部品の経年劣化又は衝撃が原因だと考えられます。
パッキンや部品の劣化状態、つなぎ目のナットの緩みを確認したほうが良いでしょう。
とはいえ、一口に水道といっても単水栓・2ハンドル混合栓・シングルレバー混合栓・サーモスタット混合栓等、種類があり、それぞれ構造や仕組みが違います。
水漏れ発生個所が同じ根元であったとしても水道の種類によって原因が異なりますので、記載した表とご家庭の水道を照らし合わせ、原因を正しく特定してください。
水道修理というと難しく感じてしまいますが、部品を取り外していき、必要があれば部品を交換し、取り外したときと逆の手順で取り付けるという簡単な作業となります。
いずれの作業においても、部品を傷付けずに元に戻すことが重要となりますので、レンチやドライバー等の工具を一通り揃えてから修理することをおすすめします。
修理を行う前は水道の元栓を閉まることをお忘れなく、記載した手順、メーカーの取扱説明書に従って作業を行ってください。