排水管の水漏れで起こる重大な二次被害とは?プロ到着までにできる処置は?
排水管から水漏れする原因はいくつかありますが、いずれの場合も放置していると深刻な二次被害へと繋がります。
漏れた水が床や壁につたってしまいダメージを受ける可能性がある他、事態が悪化するとカビやシロアリのリスクも生じます。
家の腐敗は倒壊を招くことにもなるため、そうならないよう適切に対処することが大事です。
また、建物の被害だけでなく経済的損失や健康被害の心配もあります。
排水管から水漏れした際の二次被害として想定できるケースと、業者の到着を待たずして出来る処置をご紹介します。
目次
排水管から水漏れが生じる原因は?
排水管は家庭内で使用した水を、下水まで運ぶための通り道です。
水漏れが生じる原因はいくつかありますが、どこの排水管なのかによっても水漏れ原因は微妙に変わってきます。
箇所により排水管の構造が異なるからです。
たとえばキッチンの排水管ですと食材カスなどの生活ゴミによる詰まりが原因となりやすいですし、屋外の場合は凍結などの影響を受けやすいです。
ここでは一般的によく見られる水漏れ原因について紹介します。
排水管本体の経年劣化
排水管は硬く頑丈そうに見えますが、経年劣化します。
ある程度使用期間が経過すると、ヒビ割れをおこしたり錆びが生じやすくなります。
物である以上は寿命があると思ってよいでしょう。
排水管として用いられている素材はいくつかあるため、種類ごとに寿命は異なります。
下記の表をご覧ください。
配管に用いられている素材 | 耐久年数 | 特徴 |
---|---|---|
亜鉛メッキ鋼管 | 約20年前後 | 亜鉛メッキ加工を施した鋼管 |
炭素鋼管 | 約20~25年前後 | 鉄と炭素から出来ている合金で、炭素含有量が2%以下の配管 |
鋳鉄管 | 約35年~40年前後 | ねずみ鋳鉄使用の配管 |
塩化ビニール管 | 約30年前後 | 塩ビ管とも呼ばれる合成樹脂を用いたもの |
このように比較的寿命が短い素材を用いている場合は、おおよそ20年程度で耐久年数を迎えます。
築20年程度経過した住宅ですと、排水管本体に劣化が生じ始めてもおかしくない頃です。
接合部の不具合
排水管本体はそこそこ頑丈にできていますが、接合部は劣化しやすいです。
接合部にはナットが用いられているため、そこが緩むことにより水漏れが生じる場合があります。
ナットの緩みであれば閉め直しにて直せますので、見える箇所で起きた水漏れなら対処しやすいです。
排水管本体よりも接合部パーツ類の寿命は短いですから、意外と早い段階で接合部から水漏れを起こすことも考えられます。
排水管のつまり
水漏れ原因が、排水管のつまりに隠されていることもあります。
つまりによって行き場を無くした排水が、水道管内を逆流して接合部から水漏れを起こします。
排水管には、水だけでなくさまざまな汚れが流れていきやすいです。
たとえばキッチンの排水管には、食材カスや油汚れが日々蓄積されていきます。
洗面台やお風呂場の排水ですと、髪ゴミやヘアピンなどの固形物が流れていくこともあるでしょう。
このような水に溶けきれないゴミ類が絡まりあって、大きな汚れを形成していきます。
排水管を塞ぐと水の通り道が失われ、つまりを起こす原因となり、先ほどのメカニズムで水漏れが起こることになるわけです。
普段から排水管を汚すことのないように、予防しておくことが大切です。
配管のつまりの料金は?除去を業者にお願いしてかかる修理の相場とは
凍結
凍結も排水管水漏れを引き起こす原因の一つです。
冬場の寒い日など、外気温が氷点下を下回る日は凍結の可能性があります。
特に屋外の排水管に関しては影響を受けやすく、凍結しやすいです。
配管が凍結すると内部が膨張し、配管の破裂を引き起こします。
破裂によって水漏れした場合、激しく水漏れするのが特徴です。
配管の敷き直しが必要となるため、大がかりな工事をおこなうことになり、費用負担が大きくなりがちです。
よって配管が凍結しないよう、外気温が下がる日は凍結防止策を取っておく必要があります。
きちんと水抜きをしておいたり、夜間も少量の水を流し続けるなど、対策しておくのが望ましいです。
万一凍結した際は熱湯をかけるなど急激に温めると破裂を引き起こしやすいため、自然と溶けるのを待つのがよいでしょう。
外部からの強い衝撃
自然劣化以外に、外部から激しい衝撃を受けた場合も排水管水漏れの危険があります。
たとえば自然災害です。
地震など突発的に大きな圧力がかかると、排水管が変形したり破損するなどダメージを受けます。
きちんと水の通り道が確保できないと、つなぎ目部分などに負荷がかかり水漏れしやすいです。
場合によっては家の中まで逆流することもあります。
大きな災害などは避けようがありませんが、排水管が古くなっていると劣化が進んでいるため影響を受けやすいです。
強い衝撃を受けた際は、配管に異常がないか確認しましょう。
排水管から水漏れした際に想定される二次被害とは?
排水管に限らず、配管からの水漏れは単なる水漏れで留まらず、大きな被害に発展しやすいです。
さまざまな二次被害を引き起こすため、なるべく早めに対処しなければなりません。
建物に被害が及ぶだけでなく、健康被害や他の住居に迷惑をかける可能性などもあるため、重大な二次被害のリスクを周知しておきましょう。
二次被害としてどのような状況が考えられるのか、解説します。
建物への被害
水漏れした際は設備はもちろんのこと、建物自体へもダメージが及びやすいです。
放置していると壁や床材に痛みが生じるため、腐敗の原因になります。
壁や床材の内部まで侵食してしまうと、家の基礎にも影響が出てくるため、湿気を溜めないよう気を付けなければなりません。
木造住宅の場合ですと腐敗が進むと、おおよそ3年程度で原形がなくなります。
こうなると住むことすら出来なくなるため、状況は深刻です。
また、水漏れを放置しているとカビやシロアリの心配も出てきます。
詳しくご紹介します。
カビの発生
水漏れの放置が原因で、壁や床にカビが発生することがあります。
カビは湿度が高い環境を好むため、水漏れによって湿った環境は恰好の繁殖場です。
水漏れが生じてからおおよそ1か月程度で発生するケースが多く、壁が黒や黄緑色に変色するため分かりやすいです。
目に見えるところは綺麗でも、内部にカビがびっしりと繁殖している可能性もあります。
そのため水漏れ後はただ乾くのを待つだけではなく、きちんとアルコールで除菌をして十分に乾かすことが大切です。
手順としては、次の通りです。
- 雑巾やタオルを用いて水濡れしている箇所を十分に拭きとる
- 水が完全になくなったら、そのまましばらく乾かす
- 乾いたら消毒用エタノールをしっかりと吹き掛ける
- 再度湿りがなくなるまで乾かす
シロアリの発生
水漏れによる二次被害として、シロアリの発生も懸念されます。
シロアリは湿った木材が大好物です。
雨漏りや水漏れで床材や壁が湿ってしまうと、格好の餌となります。
シロアリ被害は非常に深刻で、たとえば以下のような状況に陥りやすいです。
- 内部の基礎部分が食い尽くされる
- 敷板の空洞化
- 外壁材の剥がれ
- 部屋内に侵入
事態が深刻化すると家の倒壊にも繋がりやすいです。
シロアリの発生は築年数に関係なく起こるため、シロアリを寄せ付けるような条件を揃えないことが大事です。
放置していると事態は悪化しますので、水漏れ後はこまめに住宅の点検をおこなうようにしましょう。
またシロアリを発見した際は、なるべく早めに専門業者へ依頼することをおすすめします。
漏電事故の発生
水漏れから漏電事故に繋がるような、重大な被害が発生することもあります。
家にある家電製品などは水に濡れてしまうと故障します。
よって普段使い続けている家電の使用ができなくなるため、水に濡れないように水漏れ箇所から早めに移動させることが大事です。
また単に家電の故障だけで済めばよいのですが、水が電気配線に入り込んでしまうと漏電を起こすため、非常に危険な状態です。
触れてしまった際など、人体に電流が流れる状態となるため、感電の恐れがあります。
流れる電流の強さによっては、人体に深刻な被害が及ぶことになるでしょう。
そして漏電すると熱を起こすため、ホコリなどと混ざりあうと発火します。
火災へと発展することもありますので、漏電をおこしていないか確かめなければいけません。
経済的な損失
水漏れによって建物などのモノが被害を受けるのはもちろんですが、経済的な損失も被ることになります。
上述のように住宅へ被害が及べば、リフォームなどの実施を余儀なくされます。
水漏れした排水管の工事費用にプラスして、このような住宅の修繕費用もかかるためかなりの負担です。
また家電や家財にも影響が出た際には、買い直し費用も発生します。
そして水漏れが収まるまでの間は水道代もかかり続けるため、経済的な損失は重大な二次被害と考えてよいでしょう。
健康被害
上述のように水漏れにより湿度が高くなると、カビの繁殖が起きます。
カビが人体に与える影響は大きいです。
体内に入りこんでしまうと、アレルギーや感染症のリスクを負うことになり、体調に異常が生じる可能性があります。
壁のクロスなどに付着しているカビが空気中を舞い、吸い込んでしまうのはよくあるパターンです。
カビによる病気は軽いものだけでなく、命を脅かすような深刻な病気へ発展することもあります。
特に下記のような免疫の弱い人が暮らしている場合には、尚更注意が必要です。
- 老人
- 乳幼児
- 妊婦
- 持病を抱えている人
やはりカビの繁殖を抑えるために排水管から水漏れが起きたら、きちんとアルコール消毒を実施することが大事です。
他住居への影響
排水管からの水漏れは自分の部屋だけで収まらず、他の住居へも影響を与えてしまう可能性は否定できません。
特に集合住宅の場合は要注意です。
集合住宅の排水管は独立した造りになっておらず、複数の住戸が合流して下水へと流れる仕組みです。
そのため自分の住戸でつまりや水漏れが生じた場合、周囲の住居も被害が生じるかもしれません。
他の部屋に二次被害を与えてしまうことがあるため、集合住宅で水漏れが起きた場合は早めに管理会社へ連絡しましょう。
修理に関しても勝手にはおこなわず、管理会社の意向を確かめてから実施した方が無難です。
基本的には管理会社の指示に従うのがベストですから、水漏れが発生した状況を適切に伝えましょう。
プロ到着までにおこなう処置
急な排水管の水漏れでプロの業者を呼んだとしても、すぐに駆けつけてくれるとは限りません。
夜間や早朝ですと受け付けていなかったり、深夜料金がかかるケースもあります。
受付のタイミング次第では先客がいることもあるため、到着までに時間がかかるかもしれません。
よって必ずしもプロが即座に来るわけではないため、プロ到着までに出来ることをやっておく必要があります。
ちょっとした心得で被害を小さくできますので、どんなことをおこなうべきか押さえておきましょう。
水の使用を止める
排水管が原因で水漏れしている場合は、水の使用を直ちにやめましょう。
水を使い続けている間は水漏れが続くため、気がついた時点で一旦水の使用をストップするべきです。
また、水漏れしている排水管以外の水道についても、とりあえず使用は避けておく方が無難です。
理由として、不具合を起こしているのが目に見える排水管だけとは限りません。
住宅のあらゆる場所に排水管は巡っているため、実は他の排水管にも被害が及んでいる可能性もあります。
よって水漏れ該当箇所ではないから大丈夫だと思い使用を続けてしまうと、知らないうちに水漏れ被害が膨らんでしまうことも考えられます。
プロにチェックしてもらい全容が明らかになるまでは使用を止めましょう。
元栓か止水栓を閉めておこう
水の使用を中止するのと同時に、元栓もしくは止水栓を閉めておくとよいでしょう。
排水管からの水漏れの場合、元栓や止水栓を閉めなくても水を使わなければ収まりますが、原因が必ずしも排水管にあるとは限りません。
別の箇所に原因が潜んでいる可能性も無視できないため、念のため元栓か止水栓を閉めておくと安心です。
いずれにしろ水回り設備の修理を行う際は、必ず元栓か止水栓を閉めることになります。
よって業者が到着する前の事前準備として、閉めておくとよいでしょう。
ちなみに元栓は家に入ってくる全ての水を調整できる装置です。
止水栓は元栓から分岐した装置で、各水栓の調整をするためのものになります。
止水栓とは?設置場所や構造と水道から水漏れする原因と対処方法
補修テープを貼る
業者到着までに時間がかかるようなら、補修テープを貼って応急処置をおこなう方法があります。
補修テープを貼ることで、排水管の亀裂などを一時的に塞ぐことができるため、さらなる水漏れ防止に役立つでしょう。
ちなみに補修テープにもいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なっています。
下記の表をご確認下さい。
補修テープの名称 | 特徴 |
---|---|
自己癒着テープ | 粘着剤が使われておらず、テープ自体を2~3倍に伸ばしながら巻き付けて使うテープ |
防水補修テープ | 片側に粘着剤が使用されているテープで、水道管の補修はもちろん外壁補修などさまざまな用途に使えるテープ |
水道用ラップテープ | 粘着剤不使用で、テープ同士の圧着により固定するテープ |
とはいえやはり補修テープは一時的な解決策にしかなりません。
そのため配管にダメージを負った際はきちんとした修理を受けることが望ましいです。
塩ビパイプの水漏れは修理可能?配管補修テープの使い方をチェック
きちんと掃除をおこなう
再三お伝えしている通り、水漏れの放置は二次被害を広げてしまいます。
よって業者到着までにきちんと掃除をおこなうことが非常に大切です。
床や壁に水が広がると厄介なため、水漏れしている箇所の下にバケツなどを置き、とにかく濡らさないように気を付けましょう。
万一受け止めきれずに濡らしてしまった場合は、雑巾やタオルで拭きとりしっかりと乾かして下さい。
基本的に排水管から漏れた水は汚水です。
汚水の放置はカビの原因になりやすいですから、アルコール消毒を怠らないことも大事です。
業者が来る前に、迅速に対応することで二次被害を最小限に抑えることができます。
まとめ
排水管は経年劣化により水漏れを引き起こすことがあるため、どなたにとっても無関係ではありません。
単なる排水管からの水漏れで収まらず壁や床にも被害をもたらしやすいため、早期に発見しないと修理の負担が大きいです。
また水漏れ箇所の放置は、二次被害を引き起こします。
水が消えてなくなった後も、実は建物が腐敗していたり、時が経過してからカビが繁殖することもあります。
集合住宅ですと他の住居に影響を与えてしまうこともあるため、気が付いたらすぐに応急処置をおこなうことが大事です。
一旦水の使用を停止し、汚れた箇所は速やかに掃除をおこない、業者到着を待ちましょう。
スピード感を持って対処することは、被害が広がるのを防ぐことに繋がります。